どう変わる?建設分野技能実習の新たな受入れ基準

目次

新基準が告示された理由とは

新たな受入れ基準について

施行スケジュール

 

建設分野の技能実習生の受入れに当たり、新たな受入れ基準が国土交通省より告示され、2020年1月より施行されています。(令和元年国土交通省告示第269号)

建設分野で技能実習生を受け入れている事業者にとって、

「建設キャリアアップシステムへの登録」

「技能実習生の報酬形態は月給制に義務化」

「新たな受け入れ人数枠の設定」

などの基準が強化され、技能実習生の受入れについて今後大きな影響が出てきます。今回は、その内容について見ていきます。

 

どう変わる?建設分野技能実習の新たな受入れ基準

 

新基準が告示された理由とは

新たな告示制定の背景としまして、国道交通省は次の2点を挙げています。

 

(1) 建設業では、従事する工事によって就労場所が変わるため、現場ごとの就労監理が必要となることや、季節や工事受注状況による仕事の繁閑で報酬が変動することを踏まえ、技能実習生の適正な就労環境を確保する必要がある。 

 

(2) 2019年4月から、改正入管法による新たな在留資格(特定技能)の運用が開始されたことを受け、技能実習制度においても新制度との整合性を図りながら、適正な運用を図る必要が生じた。

 

また、国土交通省は「外国人技能実習生のうち、建設分野は失踪者数が分野別で最多であり、実効性ある対策が急務。失踪要因は、報酬の変動や、就労場所が変わり就労管理が難しいなど。」と発表しています。技能実習制度の大きな問題である失踪の要因に、報酬の変動や、就労場所が変わることによる就労管理の困難なことを指摘しています。

 

新たな受入れ基準について

外国人技能実習機構は建設分野の技能実習計画の認定に当たり、次の基準を追加し審査することになります。

 

(1)技能実習を行わせる体制の基準

① 申請者が建設業法第3条の許可を受けていること

② 申請者が建設キャリアアップシステムに登録していること

③ 技能実習生を建設キャリアアップシステムに登録すること

 

①の建設業法第3条の許可については、許可を受けた建設業の種類と技能実習の職種は、必ずしも一致している必要はありません。

例えば、許可を受けた建設業の種類が「とび・土工・コンクリート工事」で、技能実習の職種が「とび」、また許可を受けた建設業の種類が「塗装工事」で、技能実習の職種が「左官」でもOKです。

 

②の建設キャリアアップシステムへの事業者登録については、事業者はあらかじめ建設キャリアアップシステムに登録する必要があります。

 

③の建設キャリアアップシステムへの技能実習生登録については、技能実習生の入国後、第2号技能実習移行時までに建設キャリアアップシステムへの技能者登録を完了する必要があります。

つまり、事業者登録を先に行い、その後第2号技能実習移行時までに技能実習生の登録を完了する手順になります。

なお、国土交通省は、技能実習生に限らず運用開始から5年ですべての技能者(330万人)の登録を目標にしています。

 

 

(2)技能実習生の待遇の基準

・ 技能実習生に対し、報酬を安定的に支払うこと

 

「報酬を安定的に支払う」とは、月給制による支払いのことです。日給制や時給制の場合、季節や工事受注状況による仕事の繁閑によりあらかじめ想定した報酬予定額を下回ることもあり、報酬面のミスマッチが技能実習生の就労意欲の低下や失踪等を引き起こすことも考えられます。 したがって、技能実習生については安定的な報酬を確保するため、月給制によりあらかじめ技能実習生との間で合意を得た額の報酬を毎月安定的に支払うことが必要です。

 

 

(3)技能実習生の数

・技能実習生の数が常勤職員の総数を超えないこと(優良な実習実施者・監理団体は免除)

 

建設技能者は、一つの現場だけでなく様々な現場に出向いて働くことになりますので、技能実習生を監督者が適切に指導し、育成するためには、一定の常勤雇用者が必要です。

※優良な実習実施者以外の団体監理型技能実習で常勤職員数が9人未満(1~8人)の場合、現行は最大9名の技能実習者を受け入れることが可能ですが、告示施行後は、常勤職員数までしか受け入れられないこととなります。

 

施行スケジュール

(1)建設業法第3条の許可、建設キャリアアップシステムへの登録、報酬の安定的支払いについての基準が適用されるのは、

・第1号技能実習計画の認定申請については、2020年1月1日

・第2号技能実習計画の認定申請については、2021年1月1日

・第3号技能実習計画の認定申請については、2023年1月1日

以降に、外国人技能実習機構が認定申請を受理した場合です。

なお、基準日より前に認定申請をする技能実習計画については、本基準は適用されません。 

 

(2)技能実習生の数について

・2022年4月1日時点で、技能実習生の総数が常勤の職員の総数以下となるように、調整する必要があります。

 

 

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