働き方改革~有給休暇制度の在り方が変わりました~

いまや一般的な言葉として定着しつつある「働き方改革」ですが、来年2019年4月に「働き方改革関連法」が施行されることになりました。その中身のひとつである労働基準法について、いくつかの改正と創設がなされました。その中でも今回は、

 

〇長時間労働抑制策・年次有給休暇取得の一部義務化

 

について取り上げてみたいと思います。

 

どういうことかを簡単に言うと、有給休暇制度の在り方が変わりました。

 

そもそも有給休暇制度ってどんな制度?

有給休暇制度とは働く側の権利であり、いつの時点で何日取得するかは、専門用語で言うところの「時季指定権」と呼ばれています。そして、原則、働く側が自由に取得できるものと定められています。

しかしながら、日本では、同僚への配慮、昇格・査定への影響などを考え、なかなか有休を取らない、あるいは取る雰囲気にならないのが実情です。

 

業種や職種により取得実態は異なりますが、厚生労働省が2016年に実施した就労条件総合調査によれば、有給休暇の取得率は49.4%だそうです。そもそも忙しすぎるということもあるのかもしれませんが、実に2人に1人が有給を取らずに働いています。

 

改正の骨子「年に5日は絶対に休ませて!」

ここで今回の改正の話です。取得率の低さに伴う様々な問題を政府が憂いだのかもしれませんが、雇用側は年に10日以上の有給休暇を付与されている社員に対して、年5日は必ず取得させることを義務付けるように改正されました。ざっくり言うと、無理やりにでも休んでもらわないといけない、というわけです。

 

5日分については社員の希望を聞いた上で、取得させる時季を会社が指定し、休ませなければいけません。また、正社員だけに有給休暇付与があるのではなく、アルバイトやパートタイマーに対しても要件を満たせば有給休暇を付与する必要があるので注意が必要です。

 

すべての会社がこの義務を負うことになる

この改正の対象となるのは日本にあるすべての会社です。もしも、有休消化が5日未満の社員がいた場合、経営者に対して6カ月以下の懲役、または最高30万円の罰金が科されます。かなり思い切った罰則規定ですね。

 

 

最近では、有休消化を促すために、時間単位の有休取得制度を導入する会社が増えてきました。学校行事や通院など、丸一日休むほどでもない場合、有休を1~2時間に分割して取得できる便利な仕組みです。ライフスタイルや時代の変化に伴って、制度自身が変化をしてきたということでしょうか。

 

今年、省庁や地方自治体等の公的機関において、障害者雇用水増し問題が発覚する不祥事がありましたが、今回の有休取得義務化の基準法改正において、平等かつ公正な運用がなされることを願いたいと思います。

 

(労働保険事務組合 上田太平)

 

 

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