技能実習生も対象に!経費の一部が支給される「人材確保等支援助成金」
2020年4月1日、人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備コース)が創設されました。
この助成金は、現時点で外国人労働者の雇用に着目した初めての雇用関係助成金かと思います。さらに技能実習生も対象となる助成金です。
雇用関係助成金は厚生労働省が提供する助成金で、雇用の安定や職場環境の改善、仕事と家庭の両立支援、従業員の職業能力向上など様々な種類の助成金から構成されています。
今回の人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備コース)もその一つで、新たに外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を行い、外国人労働者の職場定着に取り組む事業主に対して、その経費の一部が支給されるものです。
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備コース)の概要
それでは、人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備コース)について見ていきましょう。
【対象】
この助成金でいう外国人労働者とは、
①外国人雇用状況届出の対象者
②事業主に直接雇用され、労働契約を締結している
③雇用保険や社会保険の被保険者
の方々が該当します。
外国人雇用状況届出の対象となる外国人は、在留資格「外交」「公用」及び「特別永住者」以外の人ですので、技能実習生や特定技能外国人も対象となります。
【趣旨】
この助成金の趣旨は、
①外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を行い
②外国人労働者の職場定着に取り組む事業主に対して
③その経費の一部が支給される
となり、その概要は以下の通りです。
①外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備
就労環境整備計画期間(3か月以上1年以内)に次のイからホの就労環境整備措置を導入・実施することです。
(イ)雇用労務責任者の選任
雇用労務責任者は、外国人労働者からの相談への対応、外国人労働者の就労環境の整備などの管理業務を担当する人のことです。
(ロ)就業規則等の社内規定の多言語化
就業規則等の社内規定の全てを多言語化し、就労環境整備計画期間中に雇用する全ての外国人労働者に周知することです。
(ハ)苦情・相談体制の整備
就業規則等を変更することにより、外国人労働者の苦情または相談に応じる体制を新たに定め、その内容を周知することです。
*ただし、特定技能外国人を雇用する事業所に設けられた苦情・相談体制及び監理団体に設けられた苦情・相談体制はこの措置の対象になりません。
(二)一時帰国のための休暇制度
就業規則等を変更することにより、労基法第39条に定める年次有給休暇とは別に、外国人労働者が一時帰国を希望した場合に、1年間に1回以上の連続した5日以上の有給休暇が取得できる制度を新たに定めることです。
(ホ)社内マニュアル・標識類等の多言語化
就業規則等の社内規定に含まれない、外国人労働者に適用される安全衛生、福利厚生に関するマニュアルや標識類等を多言語化し、就労環境整備計画期間中に雇用する全ての外国人労働者に周知することです。
なお、助成金を受給するには、イとロの措置に加え、ハからホのいずれかの措置を導入し、実施することが必要です。
②外国人労働者の職場定着への取り組み
目標達成助成支給のための要件の1つである次のイ「外国人労働者離職率」とロ「日本人労働者離職率」の目標を達成することです。
(イ)外国人労働者離職率の目標
算定期間(注1)中の外国人労働者の離職率が10%以下であること。ただし、外国人労働者数が2人以上10人以下の場合は、算定期間の外国人労働者離職者数が1人以下であること
*1 算定期間とは、就労環境整備計画期間終了日の翌日から12ヵ月経過するまでの期間をいいます。
(ロ)日本人労働者離職率の目標
注1の算定期間の日本人労働者の離職率(評価時離職率)が、就労環境整備計画が提出された日からさかのぼって1年間の日本人労働者の離職率(計画時離職率)を上回っていないこと。
イとロの目標を達成することが、外国人労働者の職場定着に取り組むこととなり、この助成金の支給要件になります。
③支給される経費
次のイからホの支給対象経費の一部が支給されます。
(イ)通訳費
外部機関に委託したものに限られます。
(ロ)翻訳機器導入費
雇用労務責任者と外国人労働者の面談に必要な翻訳機器の導入(助成金記入マニュアルでは、ポケトークの購入が例示されています。)に限られ10万円が上限です。
(ハ)翻訳料
就業規則、労働条件通知書、36協定書や福利厚生制度の社内文書、作業工程マニュアルの翻訳料で、外部機関に委託するものに限られます。
(二)弁護士、社会保険労務士等への委託料
苦情・相談のための弁護士への委託料や就業規則の改正費用等です。
(ホ)社内標識類の設置・改修費
多言語の安全衛生標識類の設置・改修費などで、外部機関に委託するものに限られます。
支給額は、次のとおりです。
・生産性要件(注1)を満たした場合 ⇒ 支給対象経費の2/3(上限額72万円)
・生産性要件(注1)を満たしていない場合 ⇒ 支給対象経費の1/2(上限額57万円)
外国人労働者、技能実習生を対象とした新たな助成金の創設が望まれます
今回の人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備コース)創設は、技能実習生を受け入れている事業主には朗報です。ですが技能実習生が除外されている助成金もあります。
これをきっかけに、外国人技能実習生も対象になる職業能力訓練分野においてなど、新しい助成金の創設などが今後も望まれるところです。
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