外国人技能実習制度と中小企業

外国人技能実習制度は、日本企業が開発途上国の外国人を受入れ、習得した技能を母国に移転することを目的とした制度です。技能実習生の数も着実に増加しており、技能実習の適正な実施と実習生の保護をはかるために技能実習法がこの秋から施行されます。また昨年11月には、監督機関の外国人技能実習機構が設立されました。

 

 私は社会保険労務士として雇用保険・社会保険の取得手続きに関わりますが、最近は技能実習生を受け入れるティグレの会員事業所が増えています。私も5月初め、会員企業が初めて技能実習生を受け入れるためにベトナムを訪問した際に同行しました。内定者は26歳、27歳、29歳の若者で、日本でさらに高い技能を習得・移転することで母国の発展に寄与されることを願っています。

 

 さて、技能実習制度の現状について見ますと、①実習生の数は約23万人で、受け入れ人数の多い業種は機械・金属、建設、食品製造の順で、機械・金属、建設が特に増加しています。②受け入れ企業の従業員規模は10人未満が50.1%、10~19人が16.0%で、受け入れ企業の約2/3が従業員数19人以下の中小企業となっています。従業員規模や業種構成からみても、技能実習制度を含む外国人労働者受け入れの課題は、まさに中小企業のテーマであると言えます。

 

 今後、ますます少子高齢化が加速し労働力不足が深刻となる中、労働力の確保には外国人の受け入れ対策が避けて通れなくなっています。外国人技能実習制度は少しずつ改善されてはいますが、今回の技能実習法の施行と実習機構の活動を通じて適正に機能することが期待されますし、外国人労働者を本格的に受け入れていくかどうかの議論をこれまで以上に深めていくことが必要となります。

 

【社会保険労務士法人ティグレ 代表社員 新里 順一】

おすすめ記事