コラム

障害年金の周知について

年金の種類は、大きなくくりでいえば、
「老齢年金」「障害年金」「遺族年金」があります。その中でも老齢年金は、認知度も高く、ご存知の方も多いと思いますが、それと比べて、障害年金の認知度は、決して高くはないのが実態ではないでしょうか。

 弊社に相談に来られる方も、医者をはじめとする他者からの勧めがあって初めて障害年金の存在を知ったと言っておられる方が複数いらっしゃいます。

 人工弁置換手術をされた方は、「多少の不自由はあっても、普通に生活してたのに、まさか障害年金を貰えるとは」と驚いておられました。絶対ではありませんが、目安として人工関節、人工肛門、人工弁等「人工」とされるものを置換手術した場合、概ね3級相当には該当する場合が多いようです。
また、肺がんで相談に来られた方も、「障害年金は“外傷”による障害で貰えるもので、“病気”で貰えるとは思っていなかった」と仰っていました。前二人とも、病院の先生から障害年金の話があったそうです。

 障害年金の受給要件は、障害等級(1級から3級)に該当することも必要ですが、それ以前に、①初診日において、どの年金制度(国民年金、厚生年金保険)の被保険者であったか(初診日要件)、②初診日の属する月の前々月まで、全加入期間の1/3以上の期間、又は直近1年間に、保険料未納期間がないこと(保険料納付要件)を満たす必要があります。
 3種類の年金の中では、一番手続が複雑と思われる障害年金ですが、その分社労士としては、やりがいを感じますし、受給決定に至り、喜んでいただけたときは、より一層の充実を感じます。

 心身に障害をお持ちの方で、受給要件を満たすにもかかわらず、存在を知らないため受給に至っていない方を一人でも少なくするために、社労士として周知を進めていきたいと思います。

【社会保険労務士 青木 一弘】

不動産の名義変更にはご注意を

毎年、確定申告が終わるとほっと一安心という納税者の方も多いと思います。しかし、その後、納税者のもとに、税務署からいわゆる「お尋ね」の文書(以下、「お尋ね」)が届き、どうしたらいいのかと、ご相談受けることがあります。

 この「お尋ね」とは、税務申告の必要がありそうな納税者に対して税務署が送付する文書です。例えば、自宅を売却した場合、通常登記を行いますが、その情報は法務局より税務署へ送られます。この情報から、税務署は「売却して所得を得たのではないか」という申告の要否を、「お尋ね」により確認するのです。ただ、「お尋ね」が送付されたといって必ず申告義務があるとは限りませんので、専門家にすぐに相談し対処していただきたいと思います。

 さて、この「お尋ね」の1つに、「贈与税の申告についてのお尋ね」というものがあり、毎年相談を受けます。この相談内容は主に、贈与による不動産の名義変更を行っているケースです。そのほとんどは親族間での名義変更ですが、原則、贈与税の対象になります。「贈与」とは、民法で定められており、端的には、「当事者双方のタダであげる、もらうという契約」をいいます。この「タダで」ということに納税者の方々は安心してしまうようで、お金が動いていない、更に親族間での取引であるため、税金の心配は無用と思ってしまうようです。

 贈与税は「相続税を補完する税」と言われています。つまり、生前に親族へ財産を移すことで、相続税を逃れることを防ぐ役割を持っているのです。ですから、税率は、相続税よりも高く設定され、また、基礎控除額(税金の課せられないライン)につきましても110万円(暦年課税の場合)と相続税よりも低く設定されています。

 しかし、一方で、次世代への財産の承継が中々進まない事情もあり、承継を円滑におこなうため、贈与税にいくつかの特例が設けられています。例えば、相続時精算課税制度や配偶者控除です。といっても、これら適用には要件や適用後の注意点等、十分な検討が必要となります。

【税理士法人ティグレパートナーズ 税理士 中村 哲平】

外国人技能実習制度と中小企業

外国人技能実習制度は、日本企業が開発途上国の外国人を受入れ、習得した技能を母国に移転することを目的とした制度です。技能実習生の数も着実に増加しており、技能実習の適正な実施と実習生の保護をはかるために技能実習法がこの秋から施行されます。また昨年11月には、監督機関の外国人技能実習機構が設立されました。

 私は社会保険労務士として雇用保険・社会保険の取得手続きに関わりますが、最近は技能実習生を受け入れるティグレの会員事業所が増えています。私も5月初め、会員企業が初めて技能実習生を受け入れるためにベトナムを訪問した際に同行しました。内定者は26歳、27歳、29歳の若者で、日本でさらに高い技能を習得・移転することで母国の発展に寄与されることを願っています。

 さて、技能実習制度の現状について見ますと、①実習生の数は約23万人で、受け入れ人数の多い業種は機械・金属、建設、食品製造の順で、機械・金属、建設が特に増加しています。②受け入れ企業の従業員規模は10人未満が50.1%、10~19人が16.0%で、受け入れ企業の約2/3が従業員数19人以下の中小企業となっています。従業員規模や業種構成からみても、技能実習制度を含む外国人労働者受け入れの課題は、まさに中小企業のテーマであると言えます。

 今後、ますます少子高齢化が加速し労働力不足が深刻となる中、労働力の確保には外国人の受け入れ対策が避けて通れなくなっています。外国人技能実習制度は少しずつ改善されてはいますが、今回の技能実習法の施行と実習機構の活動を通じて適正に機能することが期待されますし、外国人労働者を本格的に受け入れていくかどうかの議論をこれまで以上に深めていくことが必要となります。

【社会保険労務士法人ティグレ 代表社員 新里 順一】

ふるさと納税は趣旨を考えて

総務省は、平成29年4月、「ふるさと納税に係る返礼品の送付等について」とする文章を各都道府県知事宛に通知しました。この冒頭に次のような記載があります。

 「・・・・・・・・・ふるさと納税を通じて寄せられた資金は、子育てや教育、まちづくりに活用され、地域の活性化に資するとともに、災害時における被災地への支援としても役立っています。

 一方、ふるさと納税制度という税制上の措置とは別に、各地方団体が独自の取り組みとして行っている返礼品の送付については、最近において、・・・・・・・ふるさと納税の趣旨に反するような返礼品が送付されているなどの指摘がなされています。」

 現在、ふるさと納税は大人気であり、筆者も確定申告時には、ふるさと納税を行った納税者と多くお会いします。
人気の理由は、「自己負担額2,000円で各地方の名産品を手にすることができる」ということからではないでしょうか。確かのその通りです。

 しかし、ふるさと納税の趣旨は、地方で生まれ育った人が、都会へ出ていき、その結果、都会に税収が集中することを緩和しようというものです。生まれ育った地方に恩返しという意味で、都会から地方への税源移転を図ったものでしょう。

 ふるさと納税は、「納税」といっても、納税ではなく「寄付」なのです。寄付しますと税制上優遇されます。この結果、税金は安くなり、加えて返礼品を受け取りますので、「安く買い物した」という「結果」になるのです。
 ところが、現実には、納税者はふるさと納税先の自治体を、その自治体の返礼品を基準に決め、また、自治体も多くの資金を集めようと競って返礼品の質を上げている状況のようです。上記の総務省の文章でも、このような状況は、ふるさと納税の本来の趣旨に反するとして「返礼品の送付を強調してのふるさと納税の募集」を慎むよう記載しています。
 一方で、自治体の宣伝効果や地域経済への貢献という「効果」も忘れてはならないと思います。

【税理士法人ティグレパートナーズ:税理士 中村哲平】

相続税対策で過熱するアパートローン

昨今、金融機関が貸家業者に向けた個人に融資するアパートローンが過熱気味のようです。その背景の1つに相続税対策があるということです。

 ただ、物件の供給過剰により空室が増え、賃料が下がる地域も出始めたようです。返済が滞ればローンは不良債権となりかねないことから、金融庁と日銀は対応に乗り出しました。

 国税庁によると、平成27年の死亡者数に対する相続税の申告書提出に係る被相続人数(死亡者数)は、8%となり、前年より3.6%増加しています。この増加の大きな原因が、基礎控除額の引下げと思われます。
 平成27年の税制改正で、平成27年1月1日以降の相続税の申告については、基礎控除額が大幅に引き下げられ、改正前の60%となりました。基礎控除額とは、端的に言えば、相続税がかからないラインであり、相続財産額が基礎控除以内であれば税金はかかりません。
 この基礎控除の大幅な引き下げの影響で、相続税の課税対象者が増加し、相続税の相続税対策が注目されています。

 上記の記事では、更地を所有している場合の相続税対策です。
 更地にアパートを建設し、賃貸すれば、その土地の相続税評価額は下がります。なぜなら、アパートには他人が居住していますので、土地所有者は、その土地の利用を制限されるためです。

 ただ、ローンの返済に見合う家賃収入がきちんと得られれば、対策としては申し分ありませんが、中々うまくいかないようです。
 また、キャッシュが大量にある場合、そのキャッシュで不動産を購入する節税方法も考えられます。一般に、不動産はキャッシュに比べて評価額が下がります。ただ、この場合も購入した不動産を有効に活用できなければ損することになります。

 節税対策は重要ですが、完璧な節税対策は残念ながらありません。

 必ずリスクはあります。節税対策のみでなく、現状をしっかり把握し、納税資金の確保も含め、総合的に考えましょう。

【税理士法人ティグレパートナーズ 税理士 中村 哲平】