保険、不動産仲介など、 外交員報酬の税務調査であわてないために

本記事は、執筆時の情報を元に掲載しております。最新情報とは一部異なる可能性もございますので、ご注意ください。

 

今回は、外交員報酬(保険、不動産仲介、検針員など)の税務調査のポイントについて説明していきます。

一口に外交員といっても、働き方には大きく分けて2つの形態があります。

 

①雇用契約(正社員、契約社員)

②業務委託契約(個人事業主)

 

もし契約が雇用契約だった場合には、給与所得となり、年末調整によって納税義務は完了していますので確定申告は不要です。

一方で業務委託契約(または歩合給部分が報酬になっている契約)の場合はご自身で確定申告をする必要があります。

まずはご自身の契約形態がどうなっているか確認してみましょう。

 

保険、不動産仲介など、 外交員報酬の税務調査であわてないために

<目次>

・税務署からの連絡

・経費の実在性

・事業との関連性

・最後に

 

 税務署からの連絡

確定申告を行っている個人事業主の方には、一定の割合で税務調査が行われます。

もし税務署から連絡があったらどうすればいいのでしょうか?一緒に見ていきましょう。

 

◆税務調査の流れ◆

1.事前通知

 税務署から事前に電話で通知が入ります。

 下記のようなケースの場合は、通知なしで税務調査が始まります。

  ◆脱税などの不正が疑われる場合

  ◆不特定多数の取引先と現金決済で商売している場合

  ◆社員や関係者から不正取引の通知があった場合

2.事前準備

 収入がわかる明細書、通帳、領収書など調査対象期間分の書類を用意しておきます。

3.実地調査

 税務調査は代表者個人の自宅、顧問税理士の事務所、あるいは本社事務所で行います。

1日目 2日目 その後
始めはヒアリングや世間話など調査員とコミュニケーションの時間がほとんどです。 調査員が、帳簿などの書類を精査し、不備や不審な点がないか入念に調べます。 問題がなければ、2日目で終了します。認められない経費などがあり税額が高くなる場合、不足分の納税手続きを行います。その際「過少申告加算税」などのペナルティがかかります。

 

確定申告を税理士に依頼している場合、税務署から電話があっても慌てずに、まず税理士に依頼している旨を伝え、連絡先を確認し税理士に連絡を入れましょう。

もし税理士に頼まずにご自身で確定申告を行っている場合、自分で対応しなければなりません。

一般的には、3年分の資料を見せてくださいと言われますので、領収書などを揃えて税務署に行くことになります。

外交員報酬の場合、収入については支払元から提出された支払調書によって正確な金額が税務署に伝わっていますので、「経費」を確認するのが税務調査の主なポイントになります。

経費に対する税務調査の論点は、

・経費の実在性

・事業との関連性

の2点になります。

 

 経費の実在性

税務調査では、まずは領収書を見せてくださいと言われます。

確定申告書に記載した内容と保管されている領収書の金額が一致しているかを確認していくのですが、ここでよくある誤解が「白色申告」だから領収書の保管義務はないのでは?という勘違いです。

個人事業主の場合、

 青色申告 7年

 白色申告 5年

領収書の保管義務がありますので注意が必要です。

領収書が保管されていないと経費が大きく否認されてしまう可能性がありますので、領収書は大切に保管しておきましょう。また、万が一過去の領収書がない場合でも直近の領収書がしっかり保管されていれば、通常かかるであろう経費分に関しては認めてもらえることもありますので、今からでも領収書をしっかり保管しておくことをお勧めします。

 

  事業との関連性

領収書がしっかり保管されていたとしても、そのすべてが経費になるわけではありません。

どんなものが経費として認められるのか、主な項目を確認していきましょう。

 

①飲食代

顧客との商談など業務上必要な打ち合わせにおける飲食代は経費になります。一方、一人でランチを食べた場合などは原則として経費計上はできません。

 

②交通費

仕事をするための移動にかかった、電車賃、バス代、タクシー代などは経費計上できます。車で移動している場合にはガソリン代も経費になりますが、車がプライベートと兼用の場合には業務での使用割合に応じて按分する必要があります。

 

③贈答品

お客様に手土産を持っていくなど贈答品を渡した場合も経費になります。ただし誰に渡したか分からないものは後日否認される恐れがありますので、領収書の保管だけでなく渡した相手を記録しておきましょう。

 

④家賃、水道光熱費

事務所を借りたり、自宅を事務所として使用している場合、車と同じように使用割合に応じて経費にすることが可能です。

 

⑤通信費

顧客との連絡のために使用する電話代やインターネット料金なども経費にすることができます。ただしこちらもプライベートと共用の場合には按分が必要です。

 

⑥消耗品費

業務用にパソコンなどを購入した場合も経費にすることができます。ただし10万円(青色申告をしている場合には30万円)を超える場合、一括で経費にすることはできず4 年間に分けて経費にしていきます(これを減価償却といいます)

 

⑦セミナー、書籍代

業務のスキルアップのために参加したセミナーや購入した本の代金も経費にすることができます。

 

⑧スーツ代

一般的に服を経費に計上することは、困難です。これは仕事以外の時間でも着ることがあると考えられているからです。スーツなどの仕事着を経費で落とすためには、業務で使用していることを明確に主張できるように管理したり、記録に残しておく必要があります。

 

⑨家内労働者等の必要経費の特例

外交員や集金人など継続的に人的役務を提供する業務を行う方については「家内労働者等の必要経費の特例」という制度があり、実際にかかった経費が少なかった場合でも、55万円までは経費とすることができます。

 

  最後に

いかがでしょうか?

外交員に対する税務調査は、領収書の保管と何に使ったかを説明できることが大切です。特に税理士に確定申告を依頼していない場合、税務署からの呼び出しが多い傾向がありますので、しっかり資料を揃えて確定申告を行うようにしていきましょう。

 

おすすめ記事