他の相続人の相続税を負担することもある「連帯納付義務制度」とは?

相続権を有する者には、一定の金額を超える財産を相続する場合に必ず申告・納税をする義務が発生します。

相続税は全ての相続人が相続した財産総額により計算され、特定の相続人ただ1人だけが負担するのではなく、全ての相続人がそれぞれ相続した財産の割合に応じて納税することとなります。

そのため、相続税には“連帯納付義務制度”が設けられています。

 

本記事では、相続税の連帯納付義務制度についてお伝えします。

 

 

目次

1.相続税の連帯納付義務とは?

2.相続税の連帯納付義務制度の詳細

3.相続税の連帯納付義務の手続きについて

4.相続税の申告期限と責任を回避するための1つの方法

5.おわりに

 

他の相続人の相続税を負担することもある「連帯納付義務制度」とは?

 

1.相続税の連帯納付義務とは?

“連帯納付義務”とは、相続人の内1人でも相続税を期限内に支払わなかった場合、税務署から他の相続人へ督促が行われ、代わりに支払わなければならない義務のことを指します。

たとえ、他の相続人が自分の相続税を支払っていたとしても、代わりに支払わなければなりません。

 

もしも支払いを拒否すると、相続した財産を差し押さえられてしまうことがあります。

財産差し押さえの順序は明確に定められておらず、場合によっては相続税の未納者よりも先に納税済みの相続人の財産が差し押さえられてしまうことがあります。

また、連帯納付義務が発生した場合、相続税の納付の際には利用できる“延納”制度が利用できないので注意しましょう。

 

2.相続税の連帯納付義務制度の詳細

相続税の連帯納付義務制度については、以下のように定められています。

 

1.対象者

相続放棄をしていない、全ての相続人が対象となります。

ただし、相続放棄をしていても死亡保険金は受け取ることができます。

死亡保険金を受け取った場合は相続税の課税対象となり、連帯納付義務を負います。

放棄の意思表示をした人物の中に納税義務が発生している人物がいないか、連帯納付義務を負っていることを知っているか、関係者同士で確認を取り合う必要があるでしょう。

 

2.負担金額

本来納めるべきであった税額に加え、“利子税”という遅延によるペナルティが加えられます。

この利子税は、相続した不動産割合によって定められる特例適用後の税率が課されます。(おおむね1%~7%程度)

なお、相続税は相続によって得た財産以上に課せられることはありません。

 

3.免除の条件

基本的に連帯納付義務が発生した場合免除は不可能です。

しかし、2012年の法改正により、以下の項目に当てはまる場合は免除されることとなりました。

 

1.申告期限から5年が経過した場合

 

2.未納者が延納手続きや納税猶予の適用を受けた場合

 

3.相続税の連帯納付義務の手続きについて

相続税の未納が発覚した場合、税務署から通知が行われます。

期限がありますので、送付された通知書を確認して直ちに納付しましょう。

 

納付後、連帯納付義務者として納付した相続人は未納者に対して求償権を行使できるようになります。

“求償権”とは、本来納税義務のあった未納者に対して、肩代わりした金額の返納を求めることのできる権利のことです。

権利を行使するか否かは権利を持つ者に委ねられ、返納を求めない選択も可能です。

 

しかし、この場合、未納者に対して“贈与”したと判断され、贈与税の支払い義務が発生する可能性があるため注意しましょう。

 

4.相続税の申告期限と責任を回避するための1つの方法

連帯納付義務による責任を回避するためには、相続が発生した際、相続人同士で申告期限と納税義務があること、そして納付方法について確認し合う他ありません。

申告・納税期間は、相続が開始されたことを知った翌日から10カ月以内となっています。

この間、相続人同士の連絡を密にすることで、相続税の納税漏れを防ぐことができるでしょう。

 

5.おわりに

相続税には、連帯納付義務が存在します。

相続税は各相続人が相続した財産の額によって増減し、相続人ごとに納税義務が発生します。仮に相続人の内1人でも期日内に納税をしていなければ、他の相続人に対して税務署より未納分の通知が行われてしまいます。

 

他の相続人に対して迷惑をかけないためにも、相続人同士でいつでも連絡を取り合えるようにしておき、未納を防ぎましょう。

 

 

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