遺産相続で実際にあったトラブルと予防方法

「トラブルというものは、どのようなことに対してもついて回るもの」とはよく言います。

遺産相続もその例に漏れず、日々報道されるニュースで騒動を耳にする方も多いでしょう。

 

 

目次

1.不動産が自宅しかない場合に起こったトラブル

2.原因と予防対策

3.親と同居している相続人がいる場合のトラブル

4.原因と予防対策

5.おわりに

 

遺産相続で実際にあったトラブルと予防方法

 

1.不動産が自宅しかない場合に起こったトラブル

まずは、”遺された財産が不動産しか無いケース”でのトラブルを取り上げてみましょう。

以下では、起こり得るトラブルの一例を取り上げます。

 

 

ある一家で、母親がお亡くなりになりました。

母親の配偶者は他界しており、一人暮らし。

3人の子どもたちと母親は、それぞれ別の場所で暮らしていました。

 

死亡の報せを受けて、遠方から久しぶりに3人の子どもたちが集まります。

しかし、そこで判明したのは、母親の保有していた財産が生前住んでいた一戸建て住宅のみという事実。

子どもたちは、財産をどう分配すべきか悩んでしまいます。

 

その内に、長子が「子の中で一番上の者がより多く財産を相続するべきだろう」といった主張を始めます。

当然、他の子は納得ができずに猛抗議をします。

 

その内に、末子が「売却などせずに住宅を残してほしい。自分はこの家に住みたいとずっと考えていたのだ」と訴えたことにより、事態は益々悪化していきます。

 

ともあれ、結果として血の繋がったものたち全員で骨肉の争いをする羽目となるのでした。

 

 

被相続人が亡くなった際、遺産が”現金よりも不動産が多い”といったケースは、それなりに見られます。

不動産は、預貯金や株と違い、物理的に分配できません。

ですので、上で挙げた例のように相続の際に揉めてしまうのです。

 

 

2.原因と予防対策

初めに、このケースでのトラブルの原因を探ってみましょう。

 

 

①被相続人が財産となるものを理解できておらず、分配についての意思を遺せなかった

 

②財産の配分方法について事前に話し合いがされていなかった

 

 

大まかに見て、この2点が挙げられるでしょう。

死亡後は、生活していた住宅も財産となります。

その点について、被相続人、相続人全員が理解していたかどうかで状況は大きく変化します。

 

対策として考えられるのは、

 

 

①被相続人が、財産分配について遺言をする

 

②被相続人が生前中に、適当な人物へ贈与する

 

③動産を売却し、金銭にして分配する取り決めを、あらかじめ相続人の間でしておく

 

④対象の不動産を、相続人全員の共有名義とする取り決めをあらかじめ相続人間でしておく

 

 

などが挙げられるでしょう。

 

ただし、④についてはあまりおすすめできません。

共有名義での物件の保持は、後々「誰が所有権を持っているのか分からなくなる」他、「売却したい」と考える者が現れた時、全員の同意が必要となるなど、別の問題に発展する可能性が高いためです。

 

3.親と同居している相続人がいる場合のトラブル

次に、”被相続人と相続人が同居していたケース”でのトラブルを取り上げてみましょう。先程と同じように、まずは起こり得るトラブルの一例を取り上げます。

 

 

ある一家では、次女が父親の看護のために同居をしていました。

長男など他兄弟は、遠く離れた地に住んでいて、たまに実家に顔を見せにくる程度です。

 

ある日、父親が死亡。

一家が遺産分割協議のために集合しました。

 

協議の最中、次女は「自分は父の介護をしながらこの家に住んでいた。この家は自分の住居であるからこの家については自分が全て相続する」と主張しました。

 

この主張に対し、他の兄弟たちは「元はと言えば父親の持ち家なのだから、財産として分配されるべきだろう」と反対します。

 

その言葉に、次女はさらにこう重ねます。「父親の世話をずっとしてきたのは自分だ。介護してこなかった兄弟に同じだけの財産が渡るのはおかしい」。

 

遺産分割協議は難航し、その間に兄弟仲はみるみる険悪となっていくのでした。

 

 

このケースでは、本来正当に分配されるべき不動産に相続人が居住しています。

対象の財産を、誰にも損をさせずにどのように相続人に配分するのかがポイントとなるでしょう。

 

4.原因と予防対策

まずは、このケースでのトラブルの原因を洗い出してみましょう。

考えられるのは、以下の2点です。

 

 

①被相続人が、死亡後の同居人の待遇について配慮していなかった

 

②同居人と別居人が互いの立場を理解しあえていない

 

 

この例において、仮に住宅を売却したとなると、次女は住む家を失うことになります。また、介護の程度をどれ程考慮すべきなのかも着目すべき点となるでしょう。

 

 

継続的に無償で介護などを行っていた場合、同居していた人物は”寄与分”という制度を受けることができ、財産を多めにもらうことができます。

”寄与分”は、遺産分割をするより先に財産から差し引かれます。

 

これによって財産総額が少なくなってしまいますので、”寄与分”を認めるか否かの争いが起きる場合があります。

家庭裁判所で調停を行わなければならなくなる程悪化するケースもありますので、事前に誰がどれ程の世話をしていたのかの情報を共有し、互いに理解をしあいたい所です。

 

さて、以上のことを踏まえて、トラブルの予防と対策について考えていきましょう。

 

 

①同居人、別居人同士であらかじめ情報を共有しておく

 

②同居人がそのまま住み続けることを希望する場合の分割方法を決めておく

 

③相続人が事前に遺言書を遺しておく

 

 

②の分割方法ですが、”代償分割”か”共有分割”かの2種が存在します。

”代償分割”とは、Aが土地と不動産の全てを相続する代わりに、Bに対して相続分に相当する預貯金などを支払う方法です。

 

共有分割については、前ケースで触れた通りです。

他にも財産が存在する場合、”代償分割”を選択するとトラブルになりにくくなるでしょう。

 

5.おわりに

今回は、2つのケースを例に挙げながら起こり得るトラブルについて見てきました。

 

いずれのケースにも言えますが、相続発生の前にすべての相続人間で情報を共有すること、必要な取り決めを交わしておくことで、相続時のトラブルを予防することが可能です。

 

 

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