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記載事項)と、会社独自のルールを設けた場合には、就業規則に記載しなければならない事項(相対的必要記載事項)の2つがあります。(スライド①)「賃金の決定や計算」については、最低賃金の引き上げに伴い、記載内容が変化している可能性があります。具体的には、賃金の支給額や支給科目の名称を変更したにもかかわらず、賃金規程を改定していないケースが見受けられます。絶対的必要記載事項であるまた、相対的必要記載事項にあたる「臨時に支払われる賃金」(賞与や慶弔見舞金)についても注意が必要です。例えば、以前は慶弔見舞金を支給していたが、現在は支給しないルールに改めた場合や、賞与額を「基本給の〇か月分」と記載したまま、実際の支給額算定方法を変更した場合など、本来は賃金規程等もあわせて改定しなければなりません。一方で、絶対的必要記載事項である「退職に関する事項」や、相対的必要記載事項である「表彰及び制裁に関する事項」「休職に関する事項」は、頻繁に変更される性質のものではないと考えられます。規則は会社のルールブックであり、就業規則に記載された内容が対象労働者に適用されます。よって、正社員用とパートタイマー用を区分するのであれば、それぞれの就業規則をしっかり確認しておくべきです。逆に区分しないのであれば、各条項が誰に適用されるものかを明確に記載してください。また、賃金に関する事項は労働者の生活に直結しますから、しっかりとルールを確認しておくべきです。筆者が目にするケースとしては賞与の支給額決定に関するルールと運用の相違や、退職金の支払いに関するルールの記載内容と運用の相違で労働問題に発展するケースが多いこと。そして、就業時間のルール(変形労働時間制を採用しているケース)が思わぬ残業代繰り返しになりますが、就業請求事案に発展することも少なくないということです。就業規則に書いてある内容と運用実態が異なる場合、どちらが優先されるのかというと、原則として就業規則に記載してある内容が優先され、労働者にとって有利な内容が採用されるといってよいでしょう。また、就業規則を労働者にとって不利益となる内容へ変更することはできないとされていますが、「合理的な理由があり」「しっかりと話し合って変更した」といういくつかのステップを踏めば、変更することが可能です。働き方に対する意識が変化するにつれて、雇用契約への関心も今後ますます高まっていくことでしょう。就業規則は会社のルールブックであり、雇用契約の一部として扱われる以上、改めて就業規則の記載内容をご確認いただくとともに、運用可能なルールに見直すことをお勧めします。就業規則本号の結論就業規則見直しの注意点就業規則の不備から会社を守る17 就業規則とは、就業規則本則のほか、賃金(給与)規程や育児・介護休業規程など、付属する各種規程を総称したものです。育児・介護休業規程は法改正に準じて随時改定するものと認識されているかと思いますが、就業規則も最低賃金の引き上げや高年齢者雇用に関する法令の改正に合わせて改定する必要があります。 定期的に規程内容をチェックするとともに、実態とずれていないかを確認し、運用実態との相違が生じないようご注意ください。就業規則とはスライド 2「会社のルールブック」であり、法令上「常時10人以上の労働者を使用する」場合に作成・届け出の義務がある。また、10人未満であっても就業規則を作成・周知しておくことは重要である。

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