誰もが作れるように 現状に甘えることなく新たな事業分野を開拓改善の工夫を重ねるソニー・太陽では、1人が技を極めていく匠の世界と、1人ひとりの障がい特性に合わせた環境づくりの二本立てでものづくりを追求してきました。「例えば、前者では、業務用コンデンサーマイクロホンCー800Gの組み立て工程を1人で現在の3代目は低身長の方へと引き継がれています。一方、後者では、産業医のアドバイスを受けつつ、実際に作業する社員と、製造セルの設計・製造担当者が話し合い、作業机や治工具の自社開発を行っています」と人事総務部総務課統括課長の安倍正大氏は説明します。障がい特性に合わせた事例として業しやすい高さにボタン一つで調整できるようにしています。また、「指のけたスイッチを足で押すことで、手のひらを差し込んだエアデッキが膨らみ、電動ドライバーのスイッチを押せるようにしました。さらに、ヘッドホンの最終工程では、部品がしっかりつけられているかどうかを画像検査で確認できるようにし、最終的に必要な音の評価も自動で検査できるようにしました。これにより、聴不安を抱きがちな精神障がいの人になりました」。こうしたさまざまな改善を重ねることで、高品質かつ高い生産性を軽減による健康維持にも効果が現れています。そしてこのノウハウをソニーグループ各社にも提供するこティ、エクイティ&インクルージョン」とが難しくなった人も増えつつあり、そうした状況を受けて、ものづくり以外の事業分野の拡大にも取り組んでいます。とくに、現在注力しているのがソリューション・ビジネスです。境情報の一元管理、ウェブサイトの運用支援、展示会でのアクセシビリティ向上のサポートなどを通じて、が6割を占めています。足もとでは3年後に創立50周年を迎えるソニー・太陽。数十年働き続けた障がい者の中には、加齢などによってかつてのようなパフォーマンスを発揮するこソニーグループ各社の技術データや環ソニーグループを支えています。ソニー・太陽で働く障がい者の内訳をみると、肢体障がいのある方近年労働市場で増えつつある精神障がい者の雇用創出にも取り組んでおり、新たにカウンセリングルームを設けたり、産業医もこれまでの内すべて担う方式を採用しています。初代、2代目の匠は車いすの方で、は、それぞれの机を一人ひとりが作欠損により電動ドライバーが使いづらい人に対しては、机の下に備え付覚に障がいのある人も、完成度にも、安心して作業に携われるよう実現し、作業時の身体的負担のとで、グループ全体の「ダイバーシ推進に貢献しています。どの対応を進めてきました。く、全社員がいきいきと活躍できる環境を実現し、それを世の中に発アドバイスをいただきました。「障生え、チームワークの向上も期待で本来の力を発揮できるようになり科医から精神科医に切り替えるな今後の方向性について西島史隆社長は「健常者・障がい者の区別な信し、広めていきたい」と語ります。また、障がい者の雇用を検討している経営者に対しては、次のようながいのある方が加わることで、お互いに支え合おうという気持ちが芽きるでしょう。障がい者と密にコミュニケーションを取ってみると、ちょっとした配慮で作業がしやすくなり、ます。障がい者だからといって特別視することなく、すべての働く人にとって働きやすい環境を整えていってほしいと思います」。編集長が注目する、挑戦の最前線Editor's Pick通路には、マイクに関する開発の歴史が紹介されているコーナーも食堂のメニュー表示もすべての人にわかりやすく伝わるように工夫されている生産現場では障がい特性に合わせ、さまざまな改善がなされている32
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