Plusone647
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「こんな自分でもできた」を示したい「可能なる道標」だ。「自分にできなあった2022年4月、まずはキッチンカーを購入し、高校生向けの弁当販売で事業をスタートした。だが売り上げの波が大きく、自己資金はほどなく底をついた。経営状況は厳しかったが、2023年1月に、現在の店舗を購入しないかという話が持ち上がり、ここが勝負時と思い切って新たな借金をしてもんじゃ焼き店の開業を決断した。しばらくは売り上げが伸び悩んだが、SNSによる情報発信、Google口コミ、グルメサイトの活用などネットを駆使してあらゆる手を打った。「スタッフの生活もかかっていますし、とにかくできることはすべてやろうと思いました」。店を回すのは学生のアルバイトスタッフだ。かねてより考えていたチームワークによる組織運営については延藤さん自身の信念がある。「うちで働いたことで、どこに出しても恥ずかしくない人間に成長してほしい。僕自身サッカーしか知らない世間知らずでしたから、飲食店で働いてさまざまなことを教わりました。当時は店の経営に対してまわりの人からいろいろ意見をもらうと、うっとうしいと思うこともありましたが、今になってみると、それもすべて財産になっています」。スタッフとは常にコミュニケーションを欠かさず、あいさつの仕方から社会でのルールまで、自分の信念を伝え続けている。バーワンになりたいという壮大な目標も描いている。「こんな僕でもできるんだという姿を示して、次の世代の人たちは僕を超えていってほしい。そのためにはまず超えたいと思ってもらうだけのことを成し遂げ、モデルを示さないと」。経営者として、人として、自分自身が成長し、事業を発展させていくためにも、延藤さんはこれからも、できることはすべてチャレンジしていくつもりだ。その甲斐もあって店の方針を伝えるとすぐに実行してくれる体制が整っている。会社のビジョンとして掲げるのはいことがあると、あきらめてしまう人は少なくありません。でも僕たちはそれを可能にして世の中に示していきたい。社名のARBREはフランス語で「軸」という意味。当社が定める5つの軸の中に“挑戦”という言葉があるのですが、後に続く人への道標になるためにもさまざまなことにチャレンジしていきたい」と語る。当面の目標は、「太陽の時代」を大阪に出店することだ。だが会社として、自分自身として、やらねばならないことはほかにもたくさんあると言う。経営者4年目。これまでがむしゃらに走って来たが、仕事のスタイルも見直しが必要だと感じている。「最近では、夜遅くまで働くことをやめ、朝、ジムへ通う習慣を取り入れたことで、時間の使い方が変わり、仕事の効率も上がりました。一方で、家族と過ごす時間を増やしたいと考えているので、仕事と私生活のバランスも見直していきたいですね」。現在はジムを開業するアイデアも温めているが、外食産業でナン株式会社 ARBRE人気メニューの「明太子とチーズもんじゃ」(左)と「キムたこもんじゃ」(右)事業内容 / 飲食店経営〒700-0822岡山県岡山市北区表町3-13-56TEL : 086-221-2288https://www.taiyonojidai.jp/客とのコミュニケーションを大切にしながら焼くことを心がけている25

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