Plusone647
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カスハラ対策で会社を守る観点からも重要であり、人手不足が進む現在、そして今後を見据えても、従業員を大切にすることが何より会社を守ることにつながると筆者は考えます。点も欠かせないと思います。例えば、AとBという顧客がいる時、そして、お客様を守るという視基本的なスタンスとしてはAもBも大切なお客様です。しかし、Aが横柄な態度で従業員に接している、または従業員に無理な要求をしているという場面をBが目にしました。Bがその場面を見て「カスハラ対策をしていない会社だ」「従業員を大切にしない会社だ」という印象を持ち、二度とその会社を利用しないと判断したとしたら、会社としてはどちらが大切な顧客だったのか?ということです。また、各種ハラスメントに毅然とした対応が求められる時代だからこそ、会社としての判断基準を明確に定め、全社で共有すべきではないかと考えます。場合によっては、ウェブサイトや店頭ポスターなどを通じて対外的にも方針を発信することで、従業員・お客様双方からの信頼獲得を図れるのではないでしょうか。筆者も小さいながら社労士事務所を経営しています。事務所としてはクライアント数が多いほど経営は安定しますが、コンプライアンスや労働CSRなどはもちろん、「人としての価値基準」が合わないと判断したクライアントの場合には、事務所職員を守るため、またその結果として他のクライアント様を守るという観点から、取引をお断りすることもあります。令和に入り、労働環境は急速に変化していると筆者は感じています。今後もその変化は一層進むでしょう。特に「人手不足」や「外国人雇用」への対応は喫緊の課題であり、その中心には「人権」の視点が欠かせません。本号ではカスハラを扱いましたが、パワハラやセクハラも被害者の人権を守るという視点で考えますと、対策やその効果には共通点があると考えられます。ればならないことだから」では真の効果は得られないと思います。労働者、会社、そしてお客様の三者を守るという視点で取り組んでいただけましたら幸いです。カスハラ対策も「法律上しなけ本号の結論主なカスハラ対策とは2 ルールやマニュアルを作成する際は、具体的な事例を挙げて作成し、現場3 カスハラに関する相談窓口の設置(相談体制の整備)4 従業員への周知・研修の徹底スライド 2まずはカスハラの実態をしっかりと認識すること(特に経営陣)の判断がスムーズにできるような内容を心掛ける。1厚生労働省の調査では10人に1人がカスハラに遭ったというデータがあり、経営陣が実態を知らないだけかもしれない。「〇分以上拘束された」「金品の要求があった」「〇日連続でクレームがあった」場合にはカスハラと判断し、その場を離れて上長に報告することなどの、具体的なルールを定める。法律により設置が義務付けられているパワハラやセクハラの相談窓口に、カスハラも追加して全社に周知する。社内で判断のばらつきを防ぐため、2. のマニュアルについてしっかりと説明するとともに、研修では実際にあった事例や厚生労働省のウェブサイト「あかるい職場応援団」を活用して労働者の理解を深める。上記の対策を講じるとともに、業種によっては録音・録画を取り入れることも検討する。※近年、電話の録音機能の活用が広がっている。 また、会社として毅然とした対応をする姿勢を明確に公表し、そのための体制整備を行う。 今やパワハラやセクハラと同様、カスハラも許されない時代。顧客だから何でも許されるというわけではありませんが、会社側に非があった場合は誠実に謝罪することがもちろん必要になります。SNS への投稿など、クレームの内容や手段は多様化していますが、やはりそこには限度というものがあります。個人の判断に任せるのではなく、会社として判断基準を設け、組織として対応することが重要です。その結果、労働者や会社はもちろん、顧客を守ることにもつながると考えます。19

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