まなハラスメントが許されない時代の中で、カスタマーハラスメント(以下「カスハラ」)については法整備が遅れていました。しかし、2025年に大きな動きがありましたので、本号ではカスハラに関する動きについてお話をしようと思います。カスハラから会社を守る俊彦(特定社会保険労務士)文◎ 江口カスハラ対策とその効果カスハラとはすが、2022年2月に厚生労働省が公開した「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」の定義では、顧客等からのクレームや言動の中で、当該クレーム等の「要求の内容の妥当性」に照らして当該要求を実現するための「手段や態様(やり方)」が社会通念上不相当なものであって、その手段や態様によって「労働者の就業環境が害されるもの」と定めています。また、2025年4月1日にパワハラやセクハラなど、さまざ法律上の明確な定めはないで施行された「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」では「顧客等から就業者に対する」「著しい迷惑行為」であり「就業環境を害するもの」とされ、著しい迷惑行為として「暴行、脅迫その他の違法な行為」または「正当な理由がない過度な要求」、「暴言など不当な行為」を挙げています。(スライド①)なお、現在国会で検討されている労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)の改正案でも同様の定義づけがなされる見込みです。カスハラ対策の主な内容はスライド②の通りですが、そもそも、カスハラ対策を行う目的は何か?をお伝えしたいと思います。それはまず「大切な従業員を守ること」にあります。これは企業の安全配慮義務の 25カスハラの定義スライド 1※「著しい迷惑行為」・暴行、脅迫その他の違法な行為・正当な理由がない過度な要求・暴言その他の不当な行為1.厚生労働省の「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」における定義① 顧客等からのクレーム・言動のうち、② 当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、③ 当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、④ 当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの2.東京都の「東京都カスタマー · ハラスメント防止条例」における定義① 顧客等から就業者に対する、② 著しい迷惑行為※であり、③ 就業環境を害するもの注意すべきはクレーム等の「中身」と「やり方」がどうかということであって、すべてのクレーム等がカスハラではなく、正当な要求やクレームであれば顧客の当然の権利として尊重される。Vol.業 務 支 援18会社の守り方
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