Plusone646
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―よい組織、よいチームを作るために必要な条件は何だとお考えですか。「理想への共感」があって初めてチームになるケーションもスムーズになり、困ったら助け合うことができるようになります。局所最適ではなく、全体最適を図ることができるのです。そうなると、社員どうしの情報共有も進んでいきます。例えば弊社の事例では、自分の給与について自主的に公開している社員がいます。初任給はこのくらいでこんなキャリアを積んで今はこれくらいになっています、という情報を社員のひとりが最初に公開したところ、それに賛同して続く人が出てきました。公開された情報を見た社員は自分の価値を客観的に測れるようになり、キャリア目標を立てる上での参考にもなります。社長への依頼スレッドもあります。「こんな人と会ってほしい」「講演をしてほしい」といったようなリクエストを全員が見えるグループウェアのスレッド上で書けるようにしています。やりとりをオープンにすると、どのような依頼があるかがわかり、過去の依頼内容から、どのような条件であれば受けるのかなどが皆に周知されます。僕と普段接することが少ない人も、社内のほかのメンバーの依頼内容を見れば頼みやすくなりますし、また、僕が断った時には「私が代わりにやります」と引き受けてくれる人も出てきます。僕は、情報は徹底的に公開した方が、結果的に楽だし、効率的だと思います。いいアイデアや助言をもらえる機会が増えますからね。ただ、そのぶんいろんな人からいろんな厳しい意見が飛んできてそれに対する説明責任も伴うのでハートが強くないとやっていけませんね。単に人が集まっただけでチームは生まれません。共通の理想を持った時に初めて、グループはチームへと進化するのです。僕たちは「理想への共感」という言葉を使っているのですが、理想に共感すると、それに向かってみんなが意見、アイデアを出し、チャレンジもしてくれます。例えば、登りに行こう」と言った瞬間に、「じゃあ、僕はこれを準備します」「私はこれを持っていきます」という意見、アイデアが出てくるわけです。しかし、その中に1人でも「そんなところには行きたくない」という人がいるとチームではなくなり、そういう人を無理やり巻き込もうとするとかえって弱い組織になってしまいます。サイボウズは「チームワークあふれる社会を創る」という企業理念を掲げており、極端な話をすると、この理念に共感できない人はチームにいることは難しいということです。理想の実現のために社員は日々バトルしています。会社組織とは石垣のようなもの。ブロックのようなとがった人もいれば、角が丸い人もいて、そういった多様な個性がかみ合うことで石垣のような強いチームになります。強いチームを作る時には必ず摩擦が発生するものですが、その摩擦を乗り越えてピタッとはまった時に強い組織が生まれます。摩擦をおそれていたら強いチームは作れないと思っています。1971年生まれ。愛媛県今治市出身。大阪大学工学部情報システム工学科を卒業後、松下電工(現パナソニック)を経て、1997年8月、愛媛県松山市でサイボウズを設立。2005年4月代表取締役社長に就任。一般社団法人ソフトウェア協会筆頭副会長なども務める。710人のメンバーが「みんなで来週山青野 慶久 (あおの よしひさ)サイボウズ株式会社 代表取締役社長

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