Plusone646
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―自由な働き方を進めていく中で、いろいろな壁にもぶつかってきたと思いますが、そのあたりはいかがでしたか。―「kintone」は、社内の情報共有を円滑にするツールとして提供されています。上手な活用法があれば教えてください。「100人100通り」を再定義したグループウェアで局所最適を全体最適に度や社外の給与相場などを踏まえ、マネージャーが給与額の仮案を作成します。その後、評定会議や人事からのフィードバックを経て最終決定され、社員に提示されるという流れです。それに対して社員は「物言い」をつけることができ、交渉の余地も残されています。交渉できる分、時にはもめることもあるのですが、社員が自分自身の価値と向き合い、また働き方を含め、自分が何を求めているのかを考えるよい機会になっていると思います。働く時間、場所の選択肢が増え、それを自分で好きなようにパーソナライズできるようになっていく過程で、そこについていけない人も出てきました。いわゆる指示待ちタイプの人で、例えば「僕は明日何時に来れきょ卑ひう怯だというのがサイボウズの考えばいいですか」と言うような人です。自分で自分の生き方、働き方を決められない人にとってはせっかくの舞台も居心地の悪い空間になってしまいます。 それから「質問責任」を社員に義務化しています。おかしいと思ったらその場で聞きなさいということです。それをせずに陰で愚痴るのはです。サイボウズでは経営陣、マネジメント層が参加する経営会議をオンラインで実施し、リアルタイムで全社員が視聴することができ、録画や議事録も当日中に公開されています。その時の議題に対して賛成、反対の意思表示を行うことができ、その意思表示に対してグループウェア上で「いいね」を押すこともできます。時には、議論が白熱し、バトルが始まることもあります。サイボウズでは社長と同じぐらいの情報をほぼ全社員に共有し、だれもがすべての案件に意見を出すことができることによってガバナンスを効かせています。ちなみにサイボウズの働き方制度は、昨年までは「100人100通りの働き方」と表現していました。ところが、コロナ禍で一気に出社率が下がった一方、その時期に多くの人を採用したために、マネジメントが難しくなってきたと現場から指摘されるようになりました。「100人100通りの働き方」という表現が、チームワークやチームの生産性を十分に考慮せず、極端な働き方を希望する人を生む原因になっていたのです。もちろん多様性は尊重しますが、だからといって好き勝手に働いてよいというわけではありません。あくまでも「100人100通り」は、メンバー一人ひとりの幸福度と、チーム全体の生産性が両立して初めて成立するという考えを改めて共有するために、現在では「100人100通りのマッチング」という表現に変更しています。以前は、プログラミングの知識がないとシステムを作ることは難しかったのですが、現在はノーコードでだれもが作れるようになりました。当社の「kintone」も、導入担当者の93%は営業や総務部門といった情報システム部門以外の方です。最近では、お客様に向けて「kintone」を全社の情報共有プラットフォームとして使ってもらう提案をしています。つまり、全社で「kintone」を導入すると、各部門の情報を会社全体で共有できるようになるのです。情報を共有することができたら、コミュニ6

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