質の高い睡眠には五感が深く関わっています。視覚、嗅覚、聴覚、触覚に温熱感覚を加えた5つのセンサーのことを「睡眠五感」と呼んでいます。これら一つひとつの感覚にアプローチすることで、眠るための心の準備が整うのです。まずはいちばん大事な視覚から見ていきましょう。眠五感を大切に例えば、煙の臭いを感じると無条件で逃げようとするように、香りは生命本能にダイレクトに訴えかけます。そのため、睡眠にも嗅覚を上手に活用するのがおすすめです。ただし、自分の好きな香りでないとリラックス効果は得られにくいもの。まずは自分に合った香りを選び、枕にスプレーする、ロールオンタイプを手首に塗る、部屋にディフューザーを置くなどいろいろ試してみましょう。最近では「夜中に目が覚めやすい人向け」や「寝つきが悪い人向け」など、目的別にブレンドされたアロマ商品も登場しています。自分に合う香りを探して、心地よい睡眠環境を整えてみてください。人は眠っている間も音に反応し、生活騒音は安眠を妨げる要因となります。就寝中は図書館並みの静けさが理想とされており、特に45デシベル以上の音は覚醒反応を引き起こし、睡眠に悪影響を与えることがわかっています。また、加齢とともに深い睡眠が減少し中途覚醒が増えるため、わずかな音にも敏感になりやすくなります。夜間に廊下をバタバタ歩かない、ドアをバタンと閉めないなど、周囲の配慮が重要になってきます。 パジャマや枕カバーなど、直接肌に触れるアイテムの素材には、綿や麻、シルクなどさまざまな種類がありますが、自分が心地よいと感じる素材を選ぶことが大切です。また、赤よりは薄いピンク、黒よりはグレー、白よりはベージュと、パステル系の色がリラックス効果を高めるとされています。これからの暑い季節には、七分袖・七分丈のパジャマが涼しく快適でしょう。一方で、ネグリジェやTシャツ+短パン、あるいは裸で寝るのはおすすめできません。パジャマには、寝汗を吸収して快適な眠りを維持する役割があるだけでなく、睡眠中に下がる体温を保つ役目もあります。就寝時は寝入りばなより体温が下がるため、肌の露出を最小限に抑えることが大切です。朝~昼間は白く明るい光を浴び、夜になったらオレンジ色の暖色系の照明で部屋を暗くする。このように光のメリハリをつけることが、スムーズな入眠につながります。光には、部屋の照明だけでなく、パソコン・テレビ・スマホなどのデバイスから発せられるブルーライトも含まれます。就寝1時間前には、これら電子機器の使用を控え、光の刺激を目に入れないようにすることで、睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌が促されます。また、青色には鎮静作用があるので、寝室のカーテンや布団カバーなどは赤や黒よりもブルー系がおすすめです。32POINT 嗅覚聴覚触覚視覚生命本能に影響する感覚図書館並みの静けさが必要光と色がいちばん大切リラックスできる素材を選ぶ温度湿度音睡眠五感睡眠五感香り光・色触り心地02睡
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