Plusone646
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制度の網から漏れる人たちにも心を配る情に変わりました」。一方で、利用者についてもだれでも受け入れているわけではないという。「中には、スタッフがストレスを感じてしまうような方もおられます。そのあたりを見極めることでスタッフが長く働ける環境を整えたい」。と話す。介護業界は人材の確保、定着に苦労をしている事業所が多いが、なないろ介護センターでは、社員、スタッフの定着率が高い上に、採用についても社員、スタッフからの紹介が多く、ほとんど苦労知らずだ。介護業界に長く身を置いてきた西澤さんは介護保険制度の網から漏れる人たちの存在についても目を向けてきた。「介護保険制度に基づいた介護サービスを受けようと思えば、利用者は10%の自己負担金を支払わなければなりません。そのために、サービスを受けたいと思っても、を受けられない人が多くおられます。実際に、介護サービスを受けてはどうですかと声をかけても、支払えないから難しいという方と出会うことがあり、隠れて苦しんでいる方はかなりの数に上ると思います。そして、そのような方ほどサービスが必要と感じています。サービスを受けられないことによって、老老介護や孤独死につながっていくことを非常に心配しています」と不安気に語る。その現状を何とかしたいとの思いから、西澤さんは自腹を切って民家を借り、だれもが集える場「高齢者の広場 晴れやか」を2020年に開設した。「当初は無料で開放していたのですが、無料だと何かを買わされるのではないかという誤解を生むため、仕方なく月1000円の会費をいただくようにしました」という。「晴れやか」には毎日のように多くの高齢者が集まり、お茶を飲みながら話したり、カラオケを楽しんだりしている。また、クリスマスなど季節のイベントを開いたり、大衆演劇などの娯楽を外に見に行く機会も作っているという。「集まってこられる高齢者の方々は、日本の経済発展を支えてきた世代。最期まで人生を楽しんでほしい」という言葉には、西澤さんの心からの優しさがにじみ出ている。創業から14年。スタッフ、利用者のことを第一に考える姿勢が伝わり、利用者も口コミで着実に増え続けている。なないろ介護センターの事業は、まさに「先義後利」を地で行っている。株式会社Wood(訪問介護事業所 なないろ介護センター)先義後利の精神を大切に事業と向き合う西澤社長25昼間はスタッフが利用者宅に出向いている事業内容/介護事業〒590-0013大阪府堺市堺区東雲西町1-6-5 シャトー堺1FTEL : 072-242-7160FAX : 072-242-7441https://nanairokaigo.raindrop.jp「高齢者の広場 晴れやか」で利用者が楽しんでいる写真とともに10%の利用料が支払えず、サービス

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