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して」傷病を負った場合、労働基準法では会社が負傷労働者に係る治療費の負担や休業補償などを行う必要があると規定されています。ただし、一般的には労働者災害補償保険(以下、「労災保険」)を利用することで、会社が実際に金銭を支払うという場面はほとんどなく、労災保険の必要な書類を作成し、労働基準監督署や医療機関に提出することが多いと考えられます。令和5年度の労災申請件数では、「転倒」「無理な動作」などによる休業4日以上の死傷者数は増加傾向にあり、高齢労働者の増加や外国人労働者とのコミュニケーション不足に起因する事故の防止は、喫緊の課題といえるでしょう。中で負った傷病に対し、労働者の治療や休業補償等を担う保険であり、1年間の給与総額に業種別労働者が「仕事中に」「仕事に起因労災保険とは、仕事中や通勤途の保険料率をかけて算定される保険料を全額会社が負担して、国に納付する制度です。(スライド①)労災保険が適用される労働災害は「業務災害」と「通勤災害」に区分されます。「業務災害」とは「仕事中(業務遂行性)」と「仕事が原因(業務起因性)」が認められる事故のほか、各種認定ガイドラインに基づいて判断されますが、会社の施設に起因する事故(大きな段差があったなど)も補償されるケースに該当します。「通勤災害」とは、自宅と会社の間の「合理的な経路及び方法」を使って通勤する際の事故等による傷病を指し、業務災害とほぼ同一の補償が行われます。「通勤災害」では会社の責任は問われませんが、「業務災害」は会社の責任が問われることもあります。これは労働者が安全に働く環境を整備する義務(安全配慮義務)が会社に課せられているからであり、“安全パトロール”などを通して危険な箇所がないか点検を行うこと、危険な箇所があれば改善することが求められます。なった」「死亡した」という大きな事故が発生した場合、労災保険ではカバーされない「逸失利益」を、会社が補償するよう求められるケースも少なくありません。その原因は、労災保険の補償内容はスライド②の通りであり、特に所得補償については約8割までの補償しか行われないためです(残り約2割が逸失利益となります)。また、過重労働やハラスメントの放置のほか、施設の老朽化や、危険箇所の修繕を怠るなど、会社として労働者の安全を守るための取組を疎かにしていたと認定された場合には、さらに大きな負担を労働者が業務災害で「働けなく労災事故から会社を守る俊彦(特定社会保険労務士)×× 文◎ 江口労災保険について業務災害が生じたときのリスク2418スライド 1労災保険料の計算式毎年4月から翌年3月分までの給与総額雇用保険料の計算式毎年4月から翌年3月分までの雇用保険加入者の給与総額労災保険料と雇用保険料を併せて「労働保険料」といいます。一般の事業:14.5/1,000農林水産・清酒製造の事業:16.5/1,000建設の事業:17.5/1,000※令和7年度の概算保険料から変更業種別の労災保険料率Vol.業務支援労災保険料の計算式会社の守り方

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