近年、メンタルヘルスへの関心が高まっています。メンタルヘルス不調の一つである「強迫性障害」は、不安や恐怖に基づく強迫観念と、それを打ち消そうとする強迫行為が特徴の精神疾患です。ご本人だけでなく、周りが巻き込まれて困ってしまうケースもあるため、病気に関する周囲からの理解も重要です。第24回強迫性障害「強迫性障害」は不安や恐怖に駆られ、頭の中で繰り返し湧き上がってくる不合理な考え(強迫観念)と、その不安を打ち消すために行わざるを得ない行動(強迫行為)が繰り返される精神疾患です。強迫観念と強迫行為は多岐にわたります。例えば、汚れや不潔さへの過剰な恐れから手洗いや入浴を繰り返す、戸締まりや火の元、電気製品のスイッチを何度も確認する、などがよく見られます。本人も強迫観念が不合理であるということを理解してはいても、不安を抑えられずに強迫行為を繰り返してしまうという特徴があります。症状が進行すると日常生活や社会生活に影響を及ぼすことになり、その際には治療が必要となります。心配のあまり家族に過度な確認や協力を求めるなど周囲を巻き込むこともあり、本人自身に病気という認識が乏しいと、治療につながりにくい場合があります。強迫性障害は、思春期後半から成人期の初期に発症することが多いとされています。成人の2~3%、およそ40人に1人が罹患すると言われている身近な病気です。発症の原因はまだ解明されていませんが、脳内の神経伝達物質の調節や特定の脳部位での活動性に問題が生じていることが考えられます。治療は薬物療法と認知行動療法の組み合わせが効果的と言われ、抗うつ薬としても使用されている「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」を中心とした薬物療法が一般的です。もし強迫性障害のある人が身近にいるのであれば、本人が心配している事柄について否定することなく、ただ耳を傾ける「傾聴」の姿勢を持ちましょう。本人自身も非合理的であると分かっているところに頭ごなしに説得しようとしても、かえって本人を追い詰め、孤立させてしまうかもしれません。一方で、困りごとへの手助けをし過ぎてしまうと、本人よりもむしろ巻き込まれてしまった周囲が立ち行かなくなるなど、解決の糸口を見失なうことになりかねません。はありませんが、心の健康を保つ上では過度に完璧主義とならず、おおらかな気持ちで日々を過ごすことが大切です。頭から離れない考えや繰り返さざるを得ない行動に苦しめられているのであれば、一人で悩まず、精神科や心療内科に相談しましょう。強迫性障害には明確な予防法(埼玉県狭山市)16健健康康相相談談室室 関口 隆一先生新狭山かえでクリニック不安と行動が結びつく不安と行動が結びつく心の仕組みを理解しましょう。心の仕組みを理解しましょう。
元のページ ../index.html#16