Plusone646
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祉を学び、できることを模索していました。その頃、認知症の母親を持つ女性から「母親が元気をなくしていくのを見るのがつらい。母ができることを生かして輝いてほしい」という声を聞きました。そこで、伴走しながら認知症の人を輝かせる「ゆめ伴プロジェクトin門真実行委員会」を2018年4月に立ち上げます。その女性が野菜を切ることならできると聞き、門真市内にあったカフェの休業日を利用して、認知症の方がスタッフになるカフェに取り組みました。次に、人がたくさん集まる場所は苦手という人のために、農地を借りて畑作業ができる場所を、さらに膝が悪くて畑作業は難しいという人のために、穫れた野菜を加工できるサロンをつくりました。「皆さんの表情がいきいきとし出すのを見て、外出してコミュニケーションし、誰かのために役立つことの大切さを改めて感じました。そして家族の方も、そのような瞬間を見ることが希望につながっていることもわかりました」。コロナ禍のさなかは外に出ることが難しくなり、認知症の人とその家族が家で悶もん々とせざるを得ない状況が続く中で、ある女性から「母と一緒に折り鶴を折ったら、昔のことも思い出したようでとても心が和んだ」という話を聞きました。その話にヒントを得て、門真市内の企業や団体の協力を得て12万人の人口になぞらえ「かどま折り鶴12万羽プロジェクト」を立ち上げ、折った鶴を市の文化会館に飾る活動を始めました。森さんはさらにその発展形として、大阪・関西万博に訪れる外国人をもてなすために、たくさんの折り鶴で迎える「100万羽の折り鶴プロジェクト」を思いつきました。手始めに、2021年に開催されたドバイ万博日本館で来場者に折り鶴を配布するアイデアを万博事務局に提案し、見事採択されました。全国の賛同者に呼び掛け集まった折り鶴は現地で大いに好評を博し、鶴をもらった子どもたちから感謝のメールも届きました。「『私たちの折った鶴で世界の人とつながることができるなんて!』とプロジェクトに携わる皆さんもとても喜んでくれました。ドバイの奇跡です」。ドバイ万博が終わった後、イズミヤショッピングセンター門真から声がかかり、大阪・関西万博に向け、テナントのんも一角で折り鶴を折る場所を提供してくれることになりました。2023年11月には、各国の万博担当者が視察に訪れる機会にも恵まれました。「視察に来られたみなさんは想いを込めて鶴を折っている人たちと接し、また、折っている人は彼らに鶴の折り方を優しく教えていました。言葉はわからないけれど心でつながっている。国境を越えてコミュニケーションする様子を見て胸が熱くなりました」と森さん。現在は、イズミヤショッピングセンターの全30店舗に折り紙とポストが置かれ、折られた鶴が事務局に運ばれてきます。万博会場では、休憩所に折り鶴が飾られるほか、8月2、3日には門真市をアピールする機会があり、「ゆめ伴プロジェクト」も紹介される予定です。今やプロジェクトは、認知症や高齢者だけでなく、多様な人々がつながることのできる取り組みとして日本全国にも輪が広がっています。「認知症の人たちはこれまでは支えられる側でしたが、まちづくりの主人公になれるんだという意識の転換を図ることができました。次のサウジアラビア万博では世界の人たちが折り鶴を折るプロジェクトへと発展していけたら」とさらなる広がりに期待しています。・・ティグレニュース11「「ドドババイイのの奇奇跡跡」」折折りり鶴鶴でで世世界界ととつつななががるる日日本本全全国国、、そそししてて世世界界へへTIGRE NEWS

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