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「汗臭い」という言葉がありますが、実は汗自体にはほとんど臭いはありません。臭いの原因は菌によるもので、皮脂や垢あか(タンパク質)が分解されたり、それらが酸化されたりすることで臭い物質に変化してしまいます。菌は水分が多い場所で繁殖しやすいため、汗ばむところで菌が増え、その結果臭いが発生しやすくなるのです。汗を分泌する汗腺には2種類あります。一つが「エクリン腺」。体温調節の機能を担っており、全身に分布し、皮膚に直接開口している汗腺です。汗はさらさらしていて臭いません。もう一つが「アポクリン腺」。毛孔に付随している汗腺で、脇の下や乳輪、陰部付近などに局所的に分布しています。タンパク質や脂質、アンモニアなどを含むやや粘り気がある汗で、菌の餌となる成分を含むことや、閉塞環境の傾向があることから臭いの主原因となります。汗の臭いを抑えるには、臭いの発生原因を取り除く「予防」と、発生した臭いへの「対処」の2つのアプローチがあります。汗の臭いは、「汗による湿潤環境」、「皮脂や垢などの老廃物」、「菌」の3つが揃うことで発生します。これらの原因を取り除くことで臭いの予防ができます。汗を除くには、こまめな拭き取りや制汗剤の使用が有効です。制汗剤は剤の密着度が高いロールオンやスティックタイプが効果的。肌が弱い人はミストやスプレータイプがおすすめです。皮脂や垢などの老廃物や菌を取り除くには洗浄及び殺菌が有効ですが、過度なケアは肌荒れを引き起こすため、注意が必要です。予防したとしても、完全に汗の臭いを防ぐことは困難です。発生してしまった臭いには、文字通り臭いを消す「消臭」か、香りで覆い隠す「マスキング」のアプローチがあります。デオドラント化粧品は臭いごと汗や汚れを取り去るシートタイプや香り付けに有効なスプレータイプがおすすめです。消臭とマスキングの併用がおすすめですが、マスキングをする場合は周りの方への配慮を忘ないようにしましょう。それでも汗の臭いにお悩みの方は、皮膚科へ相談してみましょう。汗の分泌を抑えたり、アポクリン腺や皮脂腺を除去する手術を受けたりすることができます。また、運動や食事、ストレスが体臭へ影響することも知られています。まずは生活習慣や十分な息抜きができているかなども見直してみましょう。◎予防△対処「予防」「対処」第4回汗の臭いの正体「エクリン腺」と「アポクリン腺」「予防」と「対処」で徹底ニオイケア!「汗の臭い」PROFILE一般社団法人美容科学ラボ代表理事。物質工学修士。専門学校講師やオンラインサロン運営、美容メディア監修、SNS発信を通じて「科学的根拠のある正しい美容知識」の普及活動に努める。MAQUIA(集英社)、an・an(マガジンハウス)、『クイズ!脳ベルSHOW』(BSフジ)などメディアに多数出演。19スティック暖かい季節になり、汗ばむことが増えてくると気になるのが「汗の臭い」。臭いは慣れると感じにくくなるため、自分の臭いに気づかないことも。臭いが発生臭いが発生分解臭・酸化臭汗・皮脂菌によって分解、酸化理系美容家 かおり皮膚の垢皮膚の垢剤型スプレー使用法肌にスプレーする汗を拭き取る塗布する(液体)塗布する◎予防効果シーン予防・対処皮脂皮脂汗汗汗汗皮膚常在菌皮膚常在菌シートロールオン皮膚表面皮脂腺エクリン腺アポクリン腺○汗、皮脂、垢が酸化・分解されて臭いが発生タイプ別デオドラント用品

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