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スマート・エイジングのための重要な要素の一つに「良質な睡眠」があります。今回は前回お話しした「元気でいきいきと過ごすための秘訣」から「ぐっすり眠るための秘訣」をご紹介します。廃物を脳の外に洗い流す仕組みが働きます。睡眠中に脳の神経細胞の周囲の空間が拡がり、神経細胞を洗い流すリンパ液の流れが大幅に増加します。すると昼間よりも効率よく老廃物を回収できるようになり、老廃物を含んだリンパ液は静脈に沿って脳外へと運び出されます。この仕組みがうまく機能しないと脳内にアミロイドβなどの蓄積が増えることがわかっています。つまり、睡眠の質が低い状態が長く続くと、アルツハイマー病のリスクが高まるのです。また、眠っている間(レム睡眠の間)に脳は記憶を整理統合していることがわかっています。これは毎日の覚醒中に入ってくる情報で脳がパンクしないためには、取捨選択して古い情報を捨てるという作業が必要になるからです。人生のおよそ3分の1は眠りです。人生100年時代には、およそ33年眠るわけです。この長い期間にわたって、毎日を元気にいきいきと過ごすためには、毎晩ぐっすりとよく眠れること、つまり良質の睡眠が不可欠です。コロナ禍の影響で不眠症などの睡眠障害に悩まされる人が特に中高年で増えています。在宅勤務など生活習慣の変化、仕事や将来への不安が原因と思われます。現状、日本人の40歳から59歳で約5人に1人が、60歳以上だと約3人に1人がなんらかの睡眠障害を抱えているといわれています。そもそも、なぜ中高年に睡眠障害が多いのでしょうか。睡眠の質とそれに関連する体内時計の調節に重要な役割を担っているのが「メラトニン」というホルモンです。メラトニンは目に入る光の量が減ると分泌が始まり、光の量が増えると分泌を止めます。つまり、夕方暗くなってから出始め、暗い間は出続け、明るくなると出なくなります(図1)。メラトニンが血中に放出されると脈拍、体温、血圧が下がり、睡眠の準備ができたと体が認識し、睡眠に向かわせる効果があります。睡眠障害で最も多く見られるのが不眠症で、①寝つきが悪い(入眠障害)、②眠ってから頻繁に目覚めてよく眠れない(中途覚醒)、③早く目覚めすぎて困る(早朝覚醒)、④休息感が欠如している(熟眠障害)の4種類があります。中年期以降に不眠症が増える理由として次の3つが考えられます。第一に、加齢に伴いメラトニンの分泌量が減ることです。一般に思春期以降減少しはじめ、70歳を超えるとピーク第3回なぜ、よく眠ることが大切か?私たちの体には睡眠中に脳の中の老睡眠の質に重要な「メラトニン」とは?中年期から不眠症の人が増える理由メラトニンが抑制されるブルーライトメラトニン分泌が止まるメラトニンが分泌される松果体視交■上核(体内時計)❶メラトニンは脳の「松果体」から分泌されるホルモン❷血中に放出されると脈拍、体温、血圧が下がり、睡眠の準備図1 睡眠に関係するホルモン「メラトニン」とは?図2 なぜ、中年期以降に睡眠障害が増えるのか?ができたと体が認識し、睡眠を促すパソコンやスマホなど、夜間に光に当たる時間(光暴露時間)の増加により、メラトニンの分泌量が減るためスマート・エイジング14NEWS 04NEWS 04夜朝光「「ススママーートト・・エエイイジジンンググ」」のの秘秘訣訣中中小小企企業業経経営営者者をを守守るる

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