Plusone633
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毎朝2時間半をかけてうどん出汁作りに励むらし白しめ絞油を使っている。そこで、バサ以外の天ぷらメニューの幅を広げるとともに、みそ汁とご飯を合わせて天ぷら定食としても出すようになり、さらに天ぷらに合ううどんも提供するようになった。その後、1995年の阪神・淡路大震災後に完成した市営住宅に店舗を移し、現在の地に。お昼時は近隣の会社からだけでなく、遠方からバサを目当てにやってくるお客さんも多いという。藤田さんが母親の店を手伝うようになったのは21歳の頃。「もともと休みの日には手伝いに行っていましたし、公務員だった父も土・日のほかに平日も夕方帰ってからお店に出ていました。いわゆる家族経営です。母は商売一筋で、家のことも父に任せていたくらいでした」。父親が亡くなってからは夜は閉め、昼のみの営業とした。そして5年前には店を仕切っていた母親も亡くなった。「あんたにはでけへんわ、って言われて、ずっと味付けなどはさせてもらえなかったので、もし母がいなくなったら自分一人でできるんやろかと思ってたんです。ただ、ずっと教えてくれなかったうどん出汁の作り方を最後に母は病床で教えてくれて。私に店を守ってほしいという思いを伝えたかったのでしょうね」。その出汁作りは前日から始まる。昆布とシイタケを寸胴鍋の水に一晩浸けておくのだ。朝8時に出てきてからの仕事はまずその出汁を40分かけて沸騰させ、削り節を入れてからさらに沸騰させ、最後に花かつおを入れて出来上がる。天ぷらに使う野菜はすべて国産にこだわり、天ぷら油も上質の大豆藤田さんにとっての最近の悩みの種は食材の値上がりだ。「天ぷらは油が決め手だから質を落としたくないし、野菜も国産にこだわりたい」。かけそば400円、天ぷら(エビ、キス、ちくわ、ナス、カボチャ)定食で800円という良心的な値段を維持するために、切り詰められるところは切り詰めている。「とにかく無駄な在庫を持たないように気を付けているのと、この間までうどんに入れていたおぼろ昆布をやめ、自家製のたくあんを漬けることもやめました」。赤字が出る月もあるが、なんとかして切り詰めながら手頃な値段で客に喜んでもらいたいという気持ちは強い。数年前に甲状腺の病気を患い1カ月ほど休業を余儀なくされるなど苦労は尽きないが、喜んでくれるお客さんがいるから続けられるという。「昔、ご両親に連れられていた子どもが大きくなって『近くに寄ったから』と久し振りに訪ねてくれることもあるんです。うれしいですよね」。藤田さんは今年で62歳。母が亡くなった77歳まで、あと15年は店を守り続けたいと思っている。天ぷら やすだ藤田さんの気さくな人柄を慕ってやってくるお客さんも多い31ぼっかけうどんの手書きの解説事業内容/飲食店〒653-0004兵庫県神戸市長田区四番町3-1-1TEL:078-577-0641時間をかけて仕込んだ出汁で作ったうどんも人気メニュー

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