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ているかどうかはわかりませんが、実現したらうれしいことです。こういう習慣を続けてきたことで、日野原先生は100歳を超えても、いきいきしていました。目標設定のコツは、今の自分の能力より「少しだけ高い」水準にすることです。高すぎても低すぎてもいけません。また目標設定は「具体的」にすることが重要です。「近い将来にどこか美しいところに行く」という漠然としたものはダメです。例えば「来年の2月10日にウィーンに行き、ウィーンフィルのコンサートを聴く」のように、具体的ではっきりしたものにすることが肝心です。また、設定する目標は「達成したらうれしい」ものが効果的です。目標が義務的で、達成しても楽しくない「ノルマ」だと逆にストレスを感じ、報酬系は活性化しません。達成するとうれしい目標とご褒美を作って、毎日に生きる張り合いをつくりましょう。中年期以降の方は会社勤めなら管理職として忙しい場合が多いでしょう。上司からの要求、顧客からのクレーム処理、部下のマネジメントなど責任も重いです。一方、家庭でも親の介護、子供の進学・就職、配偶者との関係など、精神的な負荷も多く、心労も重なります。こうした心労からくる不安感をなくし、精神を安定させ、脳内に負の記憶、マイナスのイメージが過剰に形成されるのを抑制するのが脳内に分泌される神経伝達物質「セロトニン」です。セロトニンが重要なのは、朝になると目が覚め、夜になると眠るという「生体リズム」に関わっていることです。セロトニン神経系の活性度が低下すると、寝起きが悪くなるなど睡眠障害の原因になります。また、セロトニンは睡眠ホルモンであるメラトニンの原料になっています。そのためセロトニンが不足するとメラトニンも不足して眠りが浅くなり、それも睡眠障害の原因になります。さらに、セロトニン活性度が低下すると不安感が強くなり、うつ病の原因にもなります。日常生活においてセロトニン神経を活性化させるには、第一に太陽の光を浴びること、第二にリズム運動をすることです(図3)。太陽の光を浴びるとは、具体的には朝、照度2500ルクス以上の光を5分以上浴びることです。これにより、脳全体にわたるセロトニン神経系を通じて脳が〝覚醒状態〟になります。朝起きたらカーテンを開け、太陽の光を浴びましょう。天気が悪くても外に出て太陽の光を浴びることが重要です。リズム運動とは、「イチ、ニ、イチ、ニ」とリズミカルに運動をすることです。例えば、ウォーキング、よく噛んで食べること、ヨガや太極拳などの吐き出す呼吸が挙げられます。太陽の光を浴びながらリズム運動を併せて行うのに最も手軽な方法は、日の出後に起床し、外に出て、リズムよく30分ウォーキングすることです。ウォーキングが終わったら、熱いシャワーを浴びましょう。ちなみに、朝シャワーは活動モードへのスイッチです。自律神経の面では、寝ている間はリラックスの神経である副交感神経優位ですが、起きると活動の神経である交感神経が優位になります。すると自然免疫のひとつであるNK(ナチュラルキラー)細胞の活性が上がることもわかっています。ぜひ明日から、朝起きて太陽の光を浴びながら、リズミカルに30分歩いてみてください。その後シャワーを浴び、よく噛んで朝食をとる。この一連の「朝活」が日常生活で脳内にセロトニンを増やし、コロナうつを解消するのにも有効です。リズミカルに「イチ、ニ、イチ、ニ」と体温を上げて交感神経優位にリズミカルに「イチ、ニ、イチ、ニ」と体内時計をリセット精神を安定させるセロトニンとは?秘訣その②リズミカルに活動するなぜ、セロトニンは重要なのか今日からできる脳内のセロトニンの増やし方おすすめは毎日の「朝活」 図3 「朝活」でセロトニンを増やし、いきいきと過ごす村田アソシエイツ株式会社 代表取締役東北大学スマート・エイジング 学際重点研究センター特任教授 村田 裕之わが国シニアビジネス分野のパイオニア。2006年スマート・エイジングのコンセプトを提唱し、東北大学スマート・エイジング国際共同研究センター(現:学際重点研究センター)設立に参画。高齢社会研究の第一人者として講演、執筆、著書も多数。18年5月 Asia Pacific Eldercare Innovation Awardsにより優れた業績を上げた人として「GLOBAL AGEING INFLUENCERS」に選ばれた。朝、太陽の光を浴びる30分ウォーキングシャワーをよく噛んで朝食をとる浴びるティグレニュース17参考文献:『スマート・エイジング 人生100年時代を生き抜く10の秘訣』(徳間書店)TIGRE NEWS

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