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気になる病気や健康について分かりやすく教えていただく「健康相談室」。第10回目は「帯状疱疹」。基礎疾患やストレス・疲れなどによる免疫力の低下がきっかけとなり、体内に潜伏しているウイルスが活性化することで発症します。痛みを伴う帯状の赤い発疹ができることから帯状疱疹と言われ、誰にでも起こりうる皮膚の病気です。日頃から身体のケアをし、症状が出たら早期に治療することが重要です。があります。3カ月以上痛みが続くものは「帯状疱疹後神経痛」(PHN)と呼ばれ、合併症としては最も頻度が高いものです。「焼けるような」「締め付けるような」持続性の痛みや「ズキズキする」疼うくような痛み、頭に生じた場合は「頭を鐘で叩かれるような痛み」など痛みの症状は多彩です。治療方法は、神経痛に対しては痛み止めの飲み薬を、原因ウイルスに対しては抗ウイルス薬を中心に服用します。重度の場合や免疫力が低下している患者さんには抗ウイルス薬の点滴が必要となるため、入院することもあります。帯状疱疹自体は珍しい病気ではありませんが、放置するとさま第10回帯状疱疹帯状疱疹は、体の左右どちらかの神経に沿って、痛みを伴う赤い斑点と水ぶくれが帯状に生じるウイルス性の皮膚の病気です。多くは上半身に症状が現れますが、全身のどこにでも生じる可能性があります。50歳代から発症率が高くなり、80歳までに約3人に1人が発症すると言われるほど身近な疾患です。原因は水ぼうそうと同じ水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)で、日本人成人の90%以上は体内の神経節に潜伏していると言われています。通常、ウイルスは休眠していますが、何かの要因で免疫力が低下するとウイルスが活性化し、神経に沿って帯状に水泡と神経痛を起こす帯状疱疹を発症します。そのため糖尿病やがん、白血病など免疫力が低下しやすい基礎疾患のある方は重症化しやすい傾向がありますが、年齢に関わらず過労や体調不良などで一時的に免疫力が低下すると発症することがあるため日頃の体調管理が重要です。痛みの症状には個人差があり、ピリピリとした軽度の痛みから、夜も眠れないほど激しい痛みを伴うことも。多くの場合治療で皮膚症状が治ると痛みも軽くなりますが、神経が損傷するとしばらく痛みが続くことがあります。帯状疱疹が現れる部位や重症度によっては髄膜炎、角膜炎、顔面神経麻痺、動眼神経麻痺、難聴、排尿困難、便秘、運動障害(腕があがりにくい)などの重い合併症を引き起こすことざまな合併症や後遺症を引き起こすため、できるだけ早く医師にかかることが重要です。帯状疱疹の発症は免疫力の低下がトリガーとなるため、食事のバランスに気をつける、睡眠をきちんと取るなど、日頃から体調管理を心がけることが最も有効な予防策になります。接種が可能です。ワクチンにはウイルスを弱毒化した生ワクチンと病原性をなくした不活化ワクチンがあり、どちらも帯状疱疹を完全に防ぐものではありませんが、たとえ発症しても症状が軽く済むという報告があります。価格や接種期間などに差があるため、かかりつけの医師とよく相談ください。また、50歳以上の方はワクチン山王病院皮膚科(東京都港区)20ず健健康康相相談談室室佐藤 佐由里 先生毎日の体調管理を心がけ毎日の体調管理を心がけ 免疫力低下に気をつけましょう 免疫力低下に気をつけましょう

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