Plusone632
18/36

環境や社会の課題を解決することでそれを本業にも結びつけることが大事」と述べる。その一例として、かつての印刷会社は、印刷工程の中で有害な廃液を出していたが、今では水なし印刷が登場し、大豆を使ったインキやバイオマスインキなどの環境対応インキを開発することでビジネスチャンスが広がった事例を紹介した。中小企業がSDGsに取り組むアプローチとしては、「単に環境に取り組むこと、企業活動とは関係ない、といったSDGsに対する誤った認識を改め、SDGsの真の意味を理解するところからまず始めてほしい。そして従業員をメンバーにしたプロジェクトチームを作り、本業に通じた課題のみならず、環境、働き方改革、健康福祉、地域貢献など会社にとって優先して取り組むべきことを選んで目標を定め、取り組みの現状を報告し、検証し、改善して新たな優先課題を決めるといった循環を繰り返すことが大事だ」とアドバイスする(図表5)。必ずしも直接的な事業に結びつくことばかりではないが、「取り組むプロセスを通じて、自分がルーティンのようにしていた仕事が社会にとって意味のあることだったということを理解し、従業員のモチベーションが上がったという声を聞く。また、経営者からは、創業時につくった企業理念を再確認することができたという声も聞いた」と水上氏は言う。また、水上氏は別の側面から、SDGsに取り組む重要性を指摘した。それは、若い世代のSDGsに対する認識が高いことだ。それはデータでも表れており、ディスコが調査した「就活生の企業選びとSDGsに関する調査」(図表6)で、就活生の企業選びをする際に何を重視するかの問いでは、1位が「社会貢献度が高い」で、「給与・待遇が良い」「将来性がある」を上回っており、その比率も2020年度の29・4%から2022年度はSDGsの取り組みが人材の確保にも影響を与えていることを指摘した。人材確保にも影響を与える若い世代の意識の変化⬇⬇⬇⬇図表6 就活生の企業選社基準 社会貢献度の重視図表5 SDGsの取り組み方出典:キャリタス就活学生モニター調査 就活生の企業選びと SDGs に関する調査(2019年8月調査、2020年8月調査、2021年7月調査)出典:Global Compact Network Japan SDGs の企業行動指針 https://sdgcompass.org/wp-content/uploads/2016/04/SDG_Compass_Japanese.pdf2020年卒業者社会貢献度が高い     29.4給与・待遇が良い     27.0将来性がある       26.0仕事内容が魅力的     25.8福利厚生が充実している  24.6有名企業である      22.5職場の雰囲気が良い    22.4大企業である       22.4休日・休暇が多い     19.6希望の勤務地で働ける   19.5社会貢献度が高い     30.0将来性がある       28.5職場の雰囲気が良い    26.5給与・待遇が良い     25.9福利厚生が充実している  25.5大企業である       23.6仕事内容が魅力的     23.1有名企業である      21.2希望の勤務地で働ける   20.1業界順位が高い      19.42021年卒業者2022年卒業者社会貢献度が高い     34.3給与・待遇が良い     27.4将来性がある       27.0有名企業である      26.2福利厚生が充実している  24.0大企業である       22.4仕事内容が魅力的     22.0職場の雰囲気が良い    21.8希望の勤務地で働ける   21.6業界順位が高い      20.234・3%に高まっていると述べ、ティグレニュース就職先企業に決めた理由18TIGRE NEWSSDGsを理解する優先課題を決定する目標を設定する経営へ統合する報告とコミュニケーションを行う

元のページ  ../index.html#18

このブックを見る