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る「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の1人当たりの食糧の廃棄を削減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる」だ。「フードロスを解消するためにフリーズドライの技術を開発するなど、早くから着目して取り組めばそこに宝の山が潜んでいる」とビジネスチャンスに言及する。なぜ企業はSDGsに取り組むのか。その理由として水上氏は「信用度の向上」「意識改革」「ビジネスチャンス」「イノベーションや新規事業創出」「ESG投資の優位性の確立」の5点を挙げる(図表3)。「特に5点目について中小企業の経営者は、ESG投資など中小企業には縁遠い話と考えがちだが、例えば自治体の助成金を獲得しようと思えば、近年はSDGsの取り組みをしている企業でないと申請が通りにくくなっている」と話す。では実際にSDGsにどれほどの企業が取り組んでいるのか。「SDGsに関する企業の意識調査(2022年)」帝国データバンク)によると、積極的に取り組んでいる企業は2021年の39・7%から2022年には標のうち現在力を入れている項目(複数回答)については「働きがいも経済成長も(目標7)」が最も多く31・4%で、「つくる責任、つかう責任(目標12)」が22・9%、「エネルギーをみんなにそしてクリーンに(目標7)」が22・5%で続く。また、取り組みによる効果としては「企業イメージの向上」が37・2%と最も多く、「従業員のモチベーション向上」が31・4%で続いた(図表4)。水上氏は「『売り上げの増加』の項目が初めて登場し、11・1%あることに注目したい」と着実にビジネスにつながっていることが数字的にも裏付けられていることに触れた。SDGsをビジネスチャンスにつなげていくにはどうすればよいのか。水上氏は「本業のプロセスである、原材料の調達から生産、流通、廃棄に至るまでの中にある売上増にもつながりつつあるSDGs本業での課題をビジネスチャンスに結びつける図表4 SDGsへの取り組みによる効果(複数回答)37.2%31.4%17.8%14.0%12.3%11.5%11.1%8.9%5.0%3.8%1.7%0.9%2.0%19.6%分らない6.4%不回答7.5%66.5%図表2 SDGsの特長経済・社会・環境という3つのバランスを基に持続可能な社会を目指す図表3 なぜ企業はSDGsに取り組むのか?■ 信用度の向上(イメージアップ) − 社会・環境貢献が企業価値判断のトレンド − CSV(企業の強みを活かしたビジネスとしての社会貢献)■ 意識改革■ ビジネスチャンス■ イノベーションや新規事業創出■ ESG投資の優位性の確立52・2%に上昇している。17の目ティグレニュース17注:母数は、「現在、力を入れている項目」のうち、17の目標(項目)のいずれかを選択した企業8,080社出典:株式会社帝国データバンクWebサイト「SDGsに関する企業の意識調査」(2022年)企業イメージの向上従業員のモチベーションの向上経営方針の明確化採用活動におけるプラスの効果取引の拡大(新規開拓含む)競合他社との差別化売り上げの増加新規事業立ち上げ、新商品・サービス開発補助金や助成金の採択増加金融機関からの融資の際の優遇や債券の発行支援表彰等のノミネート投資家や個人からの資金調達(SDGs・ESG投資)その他まだ効果はみられないSDGsへの取り組みによる効果を得た経済社会環境TIGRE NEWS

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