Plusone631
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経営者としての成長も実感んしゅ候補に挙がった。決め手は二つ。まずは、機器の導入だけで数千万円の費用が必要なため参入障壁が高いこと。そして、二つ目が従業員が定着しやすいことだ。「参入障壁が高い分従業員にとっても独立が難しいというのと、加えて施術のメニューが機器に頼れる分、身体的にも楽だから続けやすいのではないかな、と」。高額な初期投資をどのように捻ねつ出したのか気になるところだが、「私は結婚をしていないので住宅ローンがあるわけでもなく、子どもがいるわけでもない。ぜいたくなこともしてこなかったので、自然にお金が貯まっていたんです」とあっけらかんと笑う。そして2018年、名古屋市の中でも富裕層が住む文教地区の一角に駐車場付きの店を出した。顧客として獲得しやすいオフィスで働く女性や、スナックなどで働く女性をターゲットにするなら繁華街での立地を選択しがちだが、あえて違うターゲットを狙ったのだ。そこにも戦略家ならではの広瀬さんの発想が活かされた。「お客さんが多いエリアはそれだけ競争も激しい。それよりも、起業した女性や、子育てをしている教育熱心な30代くらいの女性をターゲットにすれば差別化になるかなと。あとは、エステを終えた後ってノーメイクなので車でお店に来られることも大事だろうなと考えました」。そうしたユーザー心理の分析も功を奏し、順調な滑り出しとなった。ただ、クーポンサイトを使い高い割引率で顧客を獲得したため利益をなかなか出せずにいた。転機は新型コロナウイルスの感染拡大だったという。リ・チャームが個室でサービスを提供していたこと、自営業者は会社員ほど行動制限にとらわれなかったこともあり、同業者が軒並み顧客を減らす中、売り上げを伸ばすことができたのだ。そのタイミングでクーポンの配布もやめた。バーゲンウォッチャーでない良質な顧客がつき、客単価が上昇したことから、従業員の給与を上げることもできた。エステティックサロンの平均客単価は優に1万円を超えるため「当初はお客さんに申し訳ないという気持ちでいた」という広瀬さん。「価格に見合う技術とサービスを提供できていれば、値段以上の価値を感じてもらえるのだと最近になってやっと思えるようになりました。同業の経営者などとも会話をする機会が増え、その考えに触れることで少しずつ経営者らしい考えができるようになっているのかな」と、自身の成長も実感している。開業時から働いている3人の従業員はしっかりと定着している。かといってお互いにプライベートのことは詮索せず、つかず離れずの心地よい関係を築けている今、広瀬さんの言う「居心地の良い会社」に近づきつつあるのだろう。「今風の従業員操縦術」で、店の全員で共有する「自分たちの居場所である店を継続させていくこと」を実現させている。株式会社エブリワンズエステティック リ・チャーム常に居心地のよい空間づくりを心がけている29リ・チャームには「可愛らしさを取り戻す」という意味が込められている事業内容/エステティックサロン〒464-0807 愛知県名古屋市千種区東山通3-23 チャミー東山3階 【西館】TEL:080-3636-1919https://www.re-charm.com 

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