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土に還る自然な家づくりで過去と未来、山と平地をつなぐ自然の摂理にかなった伝統木造工法 若い世代からの高い関心に手ごたえ一切使わず、天日干しした部材を手約1年前に建ったばかりの紬建築のオフィス兼自宅は、社長の柴田旭さん自ら大工として手がけた伝統工法に基づいた木造住宅で、要望があればモデルルームとして邸内の見学も受け付けている。土台は、礎石の上に柱を立てその上に建物を載せる石場建てが用いられている。建物と地面の間に空間が確保されているため通気性がよく、腐りにくい。柱や梁は、桁には釘などをで刻んで木組みすることで構造体が作られている。また、壁は竹を四方に組み合わせて藁で結んだものを土台にし、その周囲に土壁をつけて仕上げられている。「これらの伝統木造工法は自然の摂理にかなっており、現代工法の住宅に比べ長寿命であるうえに、メンテナンスもしやすいんです」と、柴田さんはその良さを説く。柴田さんは、高校生活に満足できず、中退。人生を生きていく上での視野を広げるべく、国が運営する大工育成塾の門をたたいた。名古屋市内の工務店で実践を積みながら、塾で理論を学び、基礎を身につけた。奈良県の宮大工の下で修業をした後に名古屋に戻り、デザインを重視する工務店の下請けも手掛けた。さまざまな工法を勉強するうちにひかれていったのが昔ながらの伝統木造工法だった。「昔から引き継いでいるものの良さを再認識し、これを引き継いでいかなければと思ったんです」独立するなどとは考えてもいなかったが、石場建てから土壁、手刻みによる木組みまで一貫して伝統工法を採用する、という柴田さんが理想としていたやり方を行っている工務店がなかったため「それならば自分で」と独立した。初めは知り合いからの注文で実績を積み、SNSを活用して現場の様子を発信したり、伝統工法を穏やかな話しぶりから仕事の丁寧さも伝わってくる26り紬建築株式会社代表取締役 柴田 旭さん東京名古屋

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