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気になる病気や健康について分かりやすく教えていただく「健康相談室」。第9回目は「痔じく核(いぼ痔)」。痔の中でも男女ともに最も多い「痔核」は、排便時の負荷などにより肛門内粘膜の静脈が腫れることで痛みや出血を伴う症状です。放置すると座っていられない程の痛みを生じるだけでなく、肛門の症状には稀に直腸がんが隠れていることもあります。肛門に異常を感じたら、自己判断せずに肛門科へかかることが重要です。法や排便の指導・生活習慣の改善を行います。2つ目は「内痔核硬化療法(ALTA療法)」。粘膜下組織に薬物を注入し、組織に無菌性の炎症を起こすことで痔核に流入する血液を減少させ、痔核を硬化・縮小させます。ほとんど痛みを伴わない治療法です。3つ目は「ゴム輪結けく紮療法」。腫脹した痔核を輪ゴムで縛り、腫大した痔核を懐死・脱落させる治療で、3~4日で組織が脱落します。4つ目は「手術療法」。痔核が肛門外に脱出し、痛みが強い方を対象に、粘膜下の拡張した静脈を手術的に除去します。肛門周囲皮膚の一部を切り取るため、術後早期には痛みがあります。痔核の予防には肛門部位の血流を良くすることが重要です。ろか第9回痔核(いぼ痔)うようこ痔には、主に肛門部に腫れが生じる「痔核(いぼ痔)」、肛門の皮膚が切れる「裂肛(切れ痔)」、肛門外側に膿が溜たまり(肛門周囲膿のう瘍)、その膿が皮膚側に排出された後に膿の出るトンネル(瘻ろう孔)ができる「痔じう瘻」の3種類があります。最も多い「痔核」は長年の排便や過度ないきみ、血流障害が原因と考えられています。排便時間が日常的に長い方や妊娠・出産のために肛門の血流障害を起こしやすい女性に起こりやすい病態です。肛門は粘膜下の静脈が適度に膨らむことにより、最小限の力で継続的に閉じることができます。例えば、人さし指の第一関節と第二関節を曲げてみると弱い力でも指の腹がY字を作って密着します。肛門も同様な機構で便漏れを防ぐことができますが、静脈が過度に膨らむことによりいぼ状に腫れたり、排便時のいきみで腫脹した部分が伸び出して、肛門外に出ることで出血や痛みを伴う痔核となります。痔核には直腸側(内側)にできる「内痔核」と皮膚側(外側)にできる「外痔核」がありますが、厳密に区別はできず内外部で腫脹が連続していることも。腫脹が進行すると粘膜から異常な分泌が起こり、とろっとした粘液が下着に付着することもあります。痔核の治療は症状や進行度によって4種類の方法があります。1つ目は「保存的治療」。座薬によって炎症抑制や血行促進をすることで腫れを引かせる薬物療っさ自動車の運転やデスクワークなどで長時間の座位姿勢を取りがちな方は要注意。肛門部に圧がかかることで静脈の血流が悪くなると、うっ血しやすくなります。こまめな休憩と屈伸運動などを行い、肛門周囲の血行を促しましょう。また毎日の入浴も有効です。過度な飲酒やこしょう・からしなどの刺激物は腫れを助長させるため控えましょう。し、相当悪化してから病院へ駆け込む方が少なくありません。痔疾患は我慢して良いことは一つもなく、肛門の症状の影には直腸がんが隠れている場合もあります。肛門が気になったら我慢せずに専門医へ相談することをお勧めします。患者さんの中には症状を我慢(福島県会津若松市)20健健康康相相談談室室遠藤 俊吾 先生福島県立医科大学会津医療センター“トイレでゆっくり”が“トイレでゆっくり”が痔核の要因に痔核の要因に

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