Plusone630
32/36

日比谷パーク法律事務所弁護士・弁理士後編上山浩氏特許は自社の独自技術・サービスを守るための砦ことで自社の収益を増やし、継続的な成長を図るために特許は有効なのですが、日本の中小企業はまだまだ関心が低いのが実情です。特許の重要性はわかりますが、中小企業の技術力でも取得できるものでしょうか?  私も技術者だったので、弁護士になって特許の世界に触れるようになった時、「この程度のレベルでも特許が取れるんだ!?」というのが率直な驚きでした。技術者のみなさんが思っているほど特許のハードルは高くないのです。だから、本来は取っておくべき特許を出願しないで放っておくと、同業他社に同様の技術で特許を先に取られてしまうかもしれません。そうなったら、これまで頑張って続けてきた事業を諦めなければいけない可能性も出てくるのです。中小企業にとって特許は有力な武器になる特許というと大企業や大学・研究機関が取得するものというイメージがありますが、中小企業が特許を取得する利点はどこにありますか?大企業に自社製品を納品している中小企業などの場合、その品質や性能に見合う対価より低い納入価格を要求されることが多く、公正取引委員会でも問題になっています。そこで、大手企業と交渉する際の武器になるのが特許です。「うちはこういう特許を持っているから、他社が同等製品を御社に納品することはできません」という状況をつくれたら交渉を有利に運べます。とくにソフトウェア業界などでは、仕様さえわかれば、他社でも類似製品が作れることが多いもの。競合が似たような製品やサービスを市場に出せないようにするスモールビジネスこそ大切な特許富士通でソフトウェアエンジニア、野村総合研究所でITコンサルタントを務めた豊富な知識と経験を活かして、上山氏は日本で数少ない「特許弁護士」として、個人発明家が巨大企業アップルを相手どった特許侵害訴訟を勝利に導いた(前編参照)。後編では、中小企業にとって特許の保有が、大企業との取引や市場での優位性を確保するためにいかに重要かを聞いてみた。32

元のページ  ../index.html#32

このブックを見る