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健常者と障がい者の両輪が成長の軌跡を描く多品種少量生産に着目し、逆風を追い風に“個性”とのマッチングが何よりも重要チャーミングな笑顔が印象的な眞鍋利光社長は、多品種少量生産に特化した製造業を営む「有限会社利通」を38年前に創業した。当時取引先であった工場長からの依頼を受け、たった50万円の資金を片手にオーディオミキサーの組立工場を立ち上げたのが始まりだ。ところが、キャッシュフローの考えや知識もなく、毎月の資金繰りでは当時看護師をしていた妻の千加子さん(現専務)を泣かせた思いがあると言う。「ものづくりのことはわかっても、経理の部分はどうしても手薄になってしまいます。そのような時、ティグレさんにはいつもお世話になっていました。特に、消費税が8%に上がった時は税理士さんに適切なアドバイスを頂いたおかげで乗り切ることができました」事業の転機となったのは20年ほど前。産業の空洞化が進み、当時主要製造品であった時計のムーブメントが海外生産へ切り替えられたことで、撤退を余儀なくされた。急激な受注減少や人材の流出、資金繰りの悪化と、会社始まって以来の危機に追い込まれたという。そこで目をつけたのが多くの企業が避けて通る『低コスト・小ロット』の“すきま産業”だ。そしてこの決断が後の障がい者雇用に対して大きな追い風となる。プラザ合意による円高、リーマンショック、コロナ禍などの目まぐるしい経済環境の変化の中で、今日まで乗り越えることができた大きな要因は『障がい者との出会い』だと言う。利通の作業室をのぞくと、見通しのいい空間の手前と奥で従業員の作業着の色が異なることに気づく。本社の従業員、そしてグループ会社の「株式会社ワークアイアイ利通」で働く障がい者の方々だ。新事業である解体作業に使われるPC基盤28有限会社利通代表取締役 眞鍋 利光さん東京会津若松

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