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す。このようなルールが設けられている場合、当該手続きを確実に行っているか?が重要な要素となり、この手続きを行わずに行った処分は無効であると判断した裁判例もあります。また、就業規則に当該手続きを設けていなくても、弁明の機会を付与すべきとの見解があり、筆者も弁明の機会を付与すべきと考えています。理由は簡単で、①問題言動に対する事実確認を対象労働者も一緒に行うことが可能であること②悪いことをしたのであればしっかり認識させる機会ができること③会社としての方針を明確に伝えることができることです。また、その際の議事録を作成しておくことで、後々にトラブルが生じても証拠が残せるため、弁明の機会を付与することは大きなメリットがあると考えます。(スライド③)中には「そこまでしないといけないの?」という声も聞こえてきますが、筆者は積極的に弁明の機会を付与し、その席に同席しています。対象労働者と意見を交わすことは指導の一環でもあり、仮に本人が事実を認めないケースや反抗的な態度をとり続けるなどの問題に発展した際にも、前号の事実の記録と弁明の機会の際の議事録で、どのような経緯で問題が発生したのか証拠を残すことができます(通常、ここまで発展するケースは少ないですが・・・)。昨今の労働法改正や裁判例を考慮しますと、会社側が一方的に労働者へ処分を行うことはリスクが大きいケースもあります。まずはきちんと労使で話し合い、その記録を残すことが重要となります。繰り返しになりますが、ここでもやはり「記録」が事実を残す証拠となり、会社を守るツールとなり得るという点をご理解いただきたいと思います。弁明の機会付与で会社を守る言動問題となり得る23【事例】問題となり得る言動を行った対象労働者が「役職者」であったとき…① スライド1と同じ規定があるときは、「始末書の提出」と「役職を解く」のセットで処分が実行できる。② スライド1と異なり、「任命した役職を解く」とだけ規定していたときは、役職を解くことしかできない。②対象労働者は、前項の意見聴取に原則として応じなければならない。また、同僚や上司の同席を求めることができる。③本条2項の同席を求める場合は、会社がその必要性を認めた場合に限る。懲戒処分を行う際には、①就業規則にルールが記載されているか?②就業規則に従った順序を踏んで行っているか?③問題言動に対する処分の内容が適切か?を検討し、処分を実行する必要があります。特に①が大切ですから、まずは会社の就業規則の内容を確認していただくとともに、労働者に周知しているのかを確認しましょう。次に、労働者の意見を聞いているか?(弁明の機会を付与しているか?)も重要なポイントです。手間がかかることですが、いざというときには重要な証拠となりますので、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。⇒始末書を提出させることができるのは譴責処分であり、始末書を提出(譴責処分)させ、役職を解く(降格処分)と、2つの処分を行ったと解することができ、二重罰禁止に抵触する。「降格処分とする」と決定したスライド 2スライド 31. 就業規則上の規定例①会社は労働者に対し懲戒処分を課す場合、当該処分の実行を行う前に対象労働者の意見を聴き、処分内容を検討する。2. 面談記録の作成①出席者 ②開催日時 ③実施した目的 (〇〇氏××事案に関する 意見聴取など) ④問題言動の内容 ⑤内容に対する本人の認否 ⑥なぜ、当該言動を行ったのかの理由聴取 を記録する。二重罰に該当する??弁明の機会の付与本号の結論

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