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日比谷パーク法律事務所弁護士・弁理士前編上山浩氏ソフトウェアエンジニア、コンサルタントから弁護士への転身営コンサルティングに携わるようになったのです。コンサルタントから弁護士になりたいと考えた理由は何でしたか?私は専門性の高い仕事をずっとやっていきたいと考えていたのですが、斬新な視点の提示を期待されるコンサルタントという仕事を40代以降も続けるのは難しいと思いました。そこで、専門性が高くて、自分の知識と経験を活かせる仕事は何かと考えた時、弁護士が面白いのではないかと。実際、米国では特許弁護士という専門分野があり、そのほとんどが理系出身。日本ではそういうバックグラウンドを持つ弁護士があまりいないこともあって、いずれ技術に詳しい弁護士が重宝される時代が来ると考えました。会社で激務をこなしながらの司法試験突破は大変だったのでは?個人発明家でも巨大企業に勝てることを実証大学では物理学を専攻し、将来ノーベル賞を取りたいと考えていたそうですね。私が大学にいた頃の日本は高度成長期で「技術立国」という言葉がもてはやされ、ノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹・朝永振一郎両博士がリスペクトされていた時代。私も素粒子物理学の研究者として未知の分野を切り開きたいと考えていましたが、日本では博士号を取っても研究職や就職先が限られていました。そんな中、コンピュータ技術がめざましく進歩し、日本のコンピュータメーカーが世界の脚光を集めていました。そこで富士通に入社し、大型汎用機のオペレーティングシステムの企画設計に10年間携わりました。こうして得た先端知識をさらに別の分野で活かしてみたいと思い、野村総合研究所に転職して、情報の戦略活用に関する経スモールビジネスこそ大切な特許2019年4月「最強アップルVS貧乏発明家」というNHKの番組が放映され反響を集めた。グローバル企業アップルを相手取り、自分の持つ特許の侵害を訴え出た個人発明家が最高裁で勝訴するまでのドキュメント。その裁判で勝利をもたらしたのが上山弁護士であった。特許侵害訴訟において、個人や中小企業でも大企業相手に賠償金が取れることを実証したこの裁判の意義は非常に大きい。上山弁護士が歩んできたキャリアと、アップルに勝訴するまでの道のりを聞いた。32

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