Plusone629
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の部屋、あるいは金融機関に貸金庫がないかなど、遺言状がないか探していただきました。(自筆証書遺言の文例)❸相続税の申告が必要であると考えられるので、早速「相続財産調査」を開始しました。役所調査、机上調査、現地調査を行い、相続財産の土地建物の相続税評価が2451万円、相続発生時の預金残高が3867万円、お葬式費用が120万円、その他の相続財産が約15万円、未払医療費等の債務が約相続税基礎控除は4200万円(花子さんが死亡していると3600万円)なので、相続税の総額は約200万円と推定されます。ただし、相続人の次郎さんは身体障がい者2級で64歳、210万円の税額控除が適用されますので納税額は0円となる見通しでした。ここまで、ティグレの行政書士法人・税理士法人と連携して調査を進めましたが、対応策を検討するために、ティグレの顧問弁護士と次郎さんの面談を設定しました。次郎さんの親戚や知人などにご協力をいただき、代襲相続人である花子さんの行方をご自身で探していただくことになり、そのうえで家庭裁判所に「失踪宣告」を申立てることを検討することにしました。 もし花子さんが生存し、連絡が取れたとしたら、次郎さんと花子さんで「遺産分割協議」を行わなければなりません。太郎さんの相続財産である「居宅兼工場」及び「預金」は、明らかに次郎さんとともに汗を流して築き上げたものではあるけれど、名義が被相続人であって、法律的には次郎さんの権利を認めることができない状態であることが判明しました。   花子さんとの話し合いで、「この財産は叔父さんたちが築いたものなので、注)民法906条(遺産の分割の基準)では、「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。」と定められていますが、相続が争われ、審判などで遺産分割をする場合に、諸般の事情を考慮して相続分を修正することは不可能で、あくまで法定相続分に従って分割がなされます。自分はいらない」と言ってくれればいいのですが、もし花子さんが権利を主張して法定で争うことになれば、次郎さんの権利は土地建物、預金の2分の1という理不尽な状態になります。結果として、拙速な判断は避け、事態の推移を見ながら顧問弁護士と協議をし、慎重に対応策を検討することになりました。ティグレグループはまもなく創業50周年を迎えます。会員さんも高齢の方が増えており相続関係が複雑になってきています。この事案では、行方不明の相続人がいることを認識していなかったことが問題です。生前にご相談をいただいていたら、その場で「全ての財産を次郎さんに相続させる」旨の自筆証書遺言を書いていただくようお勧めしていたでしょう。時間があれば公正証書遺言や、子がいなくて自分の相続人が誰であるかわからないケースでは「相続関係調査」を行うことをお勧めします。確定証明書の申請結果の連絡(審判書謄本)戸籍の変更失踪の届出確定失踪の宣言公示催告申立て3カ月以上あとがき不在者の生死が7年間明らかでないとき(戦地に臨んだ人、沈没した船舶の中にあった人、そのほかの危難に遭遇した人については、危難が去った後、1年間生死が明らかでないとき。この類型を「危難失踪」といいます。)に、その人を法律上死亡したものとみなす宣告をする家庭裁判所の手続のことです(民法30条)。この手続きを行いたいときは、以下の書類等を用意し、裁判所に提出してください。18万円であることが判明しました。失踪宣告の手続きの流れ※一般的な流れを示したものです。約6カ月(目安)14日10日以内確定の公告市区町村役場での手続き※2週間以内であれば、不服申立てをすることができます。ティグレニュース申立てをする人利害関係がある人、検察官申立てをする裁判所申立てに必要な費用不在者の住所地の家庭裁判所□不在者1人につき 収入印紙 800円分 □連絡用の郵便切手   □官報公告料 4,816円□申立書 1通□不在者の戸籍謄本 1通□不在者の戸籍附票 1通□不在を証する資料(不在者の捜索願受理証明書、返戻された不在者申立てに必要な書類宛ての手紙等)□申立人の利害関係を証する資料(親族関係であれば戸籍謄本(全部事項証明書)※そのほかに書類の提出をお願いすることがあります。審 理・書面照会・調査官調査・参与員の聴き取り・審問※生存が判明したり、死亡が判明した時点で、却下の審判が出されることもあります。17「失踪宣告」の手続きとは・・・TIGRE NEWS

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