Plusone628
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 橘 我妻我妻我妻我妻  橘   橘 橘 6教育のレベルは、会社のレベル我妻社長は学生の時に警備業のアルバイトを経験され、その後26歳の時に交通誘導警備事業を創業されたそうですが、競合他社との違いをどのように打ち出されたのですか。私が創業した1985年頃は、都市の高度化が進み電線の地中化工事が盛んに行われている時期でした。そこで交通誘導警備の中でも比較的需要が安定しているインフラ工事関係の警備に取り組みました。ただ、毎年10月〜3月までの繁忙期で利益を貯めても閑散期に入ると従業員が辞め、繁忙期に向けた従業員の募集と教育でお金を使い果たしていました。そこで多少利益は小さくても、年間を通して安定するストック型の常駐警備への参入を決断しました。とはいえ、実績のない会社に施設の鍵を託してはくれません。最初は金額だけで参入できる入札からスタートしました。フローのビジネスだけでなくストックのビジネスをいかにバランスよく取り入れるかが重要なのですね。事業を拡大していく道のりの中で最もご苦労のあった出来事はなんでしたか。2002年のFIFAワールドカップの警備を請け負ったのですが、静岡会場の250名の警備員を、バス数台で600㎞以上離れた宮城会場に移動させる必要がありました。しかし、濃霧で高速道路が通行止めとなり、夜中の3時に「警備配置に間に合いません」と電話が入りました。国際的イベントで大失態を犯せば信用は地に墜ちてしまいます。幹部を含め、関東と東北地区の全員を宮城会場に急行させました。飛行機を使おうが金に糸目はつけず、とにかくスピードを優先しました。知り合いの警備会社にも応援をお願いしました。駆け付けてくださった皆さんのおかげで、静岡組の到着までつなぎ警備をお願いして事なきを得ました。2019年のラグビーワールドカップ、2021年の東京オリンピック・パラリンピックではこのようなことが起きないように、200戸の社員寮を構えて対応しました。とっさの判断力ですね。そしてその教訓の積み重ねが信用につながっていることも理解できました。2000年に施設警備業に参入された時には「教育のレベルは、会社のレベル」というスローガンを掲げておられます。施設警備への参入に当たっては警備品質の標準化が課題でした。とある非常に高い警備品質で有名な警備会社の代表の方に、弊社の警備品質をみてもらいました。すると「KSSさんの隊員は、良い隊員はウチより良い。でも、悪い隊員はウチより悪い。ウチの隊員はみんな普通」と言われ、ハッとしました。警備品質の標準化こそが、会社ブランドを確立し、お客様の信頼を得ることに気づいたのです。そこで、警備品質の標準化を行うためには、教育のレベルを高めなければならないと考え、このスローガンを掲げました。ティグレの会員企業にとっても人材の確保と社員の定着は大きな経営課題の一つです。御社ではどのような工夫をされていますか。最近は、新卒社員の採用に注力しています。昨年は96名、今年も126名が入社しました。4月の入社式では「3年頑張って働いたら、辞めて好きな1958年生まれ、福島県出身。神奈川大学の学生時代に警備会社のアルバイトを経験。卒業後、1982年4月に共栄警備保障入社、1985年5月に共栄セキュリティーサービスを設立し代表取締役に就任。2019年3月18日、東証JASDAQ(現スタンダード)市場に新規上場し、警備会社として8社目の上場を果たした。我妻 文男 (あずま ふみお)共栄セキュリティーサービス株式会社 代表取締役社長

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