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子どもたちの未来が輝くように笑いが絶えないにぎやかな現場未来をつくる子どもたちに投資をる「福祉有償運送」など、多岐にわたる。自分の力では呼吸をすることも食べることも難しい医療的ケアが必要な子どもたちとその家族に寄り添うNPO法人にこり。その活動内容は、日常的な医療的ケアを行う「小児専門の訪問看護」、子どもたちに新しい体験の機会と家族に休息を提供する「こどもデイサービス」、社会から孤立してしまうお母さんと赤ちゃんのサポートを行う「産前産後の母子支援」、障がいを持つ子どもの通院・通学・外出を支援す「いつも笑いが絶えない、にぎやかな現場なんですよ」と理事長の松丸実奈さんはけろっと明るい。にこりを利用する子どもたちも働くスタッフもみんなご機嫌だ。医療的ケアが必要な子どものいる家庭では、ケアの負担のため仕事を続けることが難しくなったり、夫婦関係がぎくしゃくしたりすることが少なくないという。だが、にこりがサポートしている家庭ではそのようなことは少なく、夫婦仲も良いので、弟や妹が生まれることも多いという。 看護師だった松丸さんは2016年、自宅の一角で小児専門の訪問看護事業を始めた。そんな中、親友の子どもが出生後の障害のため、医療的ケアが必要な状態で退院することになり、その後の生活に不安を抱いていることを知った。そこで「自分にもできることがあるはず」と考え、不安な家族をサポートしていくためににこりを立ち上げた。当初は医療的ケアが必要な子どもたちの支援に特化していたが、ある時、「もともと育児そのものが大変であり、母親には家族以外にも共に歩く人が必要なのだ」と気づいて、お母さんのための産前産後ケア事業も始めた。妊産婦の死因の一位は自殺だと報告されている。「母親は可愛くて仕方がないわが子を目の前に、理想の母親になれていないと感じることが苦しいんだと思います」と松丸さん。お母さんには「完璧じゃなくていいんだよ」と声をかけている。自宅を訪問するだけでなく、「産前産後ケアもう一人の理事長、荒木俊介氏(右)は産業医科大学の小児科医だ。28NPO法人にこり理事長 松丸 実奈さん東京福岡

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