Plusone628
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信用できる人たちと息の長い商売をうと、2社目は大手の不動産会社を選び滞納家賃を回収する泥臭い仕事も経験。そして、賃貸物件のみを扱っていた2社目までとは異、3なり社目は売買が得意な会社に転職した。そこでは独立を見据え「会社の看板に頼らず、冨田の名前でどれだけ仕事を任せてもらえるかチャレンジした」。転機になった出来事がある。自己破産した家主の差し押さえ物件が競売にかかる前に売る「任意売却」に初めて挑んだ時のことだ。手当たり次第に任意売却に同意する売主を探したが見つからず、手紙作戦でようやく一人の売主が見つかった。冨田さん自身初めてのことだらけで、消費者金融会社に勤める知人にどうすれば差し押さえが解除になるのかを尋ね、市役所の担当者に2時間かけて解除交渉の直談判をした結果、任意売却に持ち込むことができた。「最初は全くあてにしていなかった」という依頼者が喜ぶ姿を見て、達成感を覚えた。手探りながら自分の力で成し遂げられたことに自信が得られただけでなく、市役所の担当者や債権者と粘り強い交渉を重ねる中で「最後は人対人。誠意を持って物事に当たれば必ず思いは通じる」と実感したことが独立してからも大いに役立っているという。3社目の不動産会社に7年間勤めた後、35歳でごう不動産を立ち上げた。独立後の収入は前職の半分になり、数年はぎりぎりの生活を強いられた。「ひとことも愚痴を言わなかった妻には頭が上がりません」と感謝する。当初は「5年やってだめなら営業センスがなかったんだと思いどこかで雇ってもらおう」というくらいの気持ちでいたが、いつの間にか事業は軌道に乗り、気づけば10年目を迎えた。冨田さんは自身のことを「無愛想で営業向きでない」と分析する。だからこそ体当たりであらゆることに挑み、失敗を繰り返しながら、さまざまなことを体得してきたという。そして大事にしているのが、自分がふだん感じることをお客様の立場に置き換え、応対することだ。それが冒頭に紹介したオネストカードにもつながっている。「私は車の知識に疎いので、車を購入する時は良いことよりデメリットを知りたいと思っていたんです」。たまたまあるテレビ番組を見ていた時に、八百屋さんが野菜のわずかな欠点まで客に伝えて売っている様子を見て、腑に落ちた。「高価な不動産購入ならなおさら失敗したくない感情が根底にあることに気づかされました」。営業主任の藤木崇智さんには自身の経験をすべて共有し、「自分の名前で仕事を取り、いつか独立したらいい」と自分の歩みに重ねながらアドバイスしている。「飾らず、正直に、」の生きざまを貫く冨田さんは「今いる所は目的地ではなく、まだまだ経過地点。『人間万事塞翁が馬』を心に念じ細く長く商売を続けていきたい」とこれからの目標を掲げている。株式会社ごう不動産営業主任の藤木崇智さん(左)には仕事だけでなく人生のアドバイスも行う。27多くの物件情報が掲載されているごう不動産のHP事業内容/不動産の売買、賃貸、買取、リフォーム、管理・コンサルティング等、不動産総合業務〒811-3304 福岡県福津市津屋崎7-14-28tel:0940-72-1895 fax:0940-72-1896http://goufudousan.co.uk/

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