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ない、独自性のある事業体が存在するからこそ店舗数や売上を増加できるという考え。2021年はそれらを象徴するような成約案件が多かった。スライド2はいずれもコロナ禍真っただ中の2021年に成約した案件実例である。スライド1に示した査定相場を大きく超えて高額で成立していることが特徴で、これが今の買い手ニーズということになる。全体的には買い手の意欲鈍化という空気がある一方で、「ストーリー性のある事業展開」に寄与するであろう「特徴的なコンテンツ」のある業種・業態は買い手から高い評価を受ける傾向にある。では、「ストーリー性のある事業展開」「特徴的なコンテンツ」とは具体的に何を指すのか。あくまでも査定価格のベースとして大きな影響を及ぼすのがスライド3に記載の6要素で、今これらを買い手は強く求めている。逆に言えば、これらの要素を高める経営を行うことこそが、飲食業界において、M&A市場での企業価値を高めることに直結することになる。三みやけ宅 宏ひち通ろみ株式会社ウィット 1982年生まれ 卒業後、UFJ銀行(現三菱UFJ銀行)入行。2007年に飲食業界を専門とするM&A仲介サービスを行う㈱ウィットを設立し起業。2018年、東証一部上場(現東証プライム)企業である㈱シンクロ・フードに自身の株式を譲渡し100%子会社となり現在に至る。飲食業界のみならず、それぞれの業種において企業価値が評価されるポイントやトレンド、市況の需給バランスは異なってくるが、業種特化型のM&A仲介会社はその業界をより深掘りし、知見と実績を重ねることで、顧客とより強い信頼関係を構築している。会社を売る、買うというタイミングでM&A仲介会社を探すのではなく、日頃の経営判断を行う参考情報の一つとして、その業種に強いM&A仲介会社とコミュニケーションをとっていくことを強く推奨したい。代表取締役立命館大学文学部2021年の特徴的な成約事例売り手に求められる6要素×+7.5年×7.7年老舗ブランドが若い経営者の発想で新たな挑戦を行い、成功している事例が多い。SNSの時代、口コミサイトの高評価店舗やミシュラン店などをM&Aで取得するという発想。オーナーの技術、カリスマ性のみに依存した組織は譲受リスクが高い。組織として機能しているかどうか。創業70年の老舗●●店など口コミサイト高得点など管理、指示系統差別化商品事例1◉ ミシュラン星付き店舗、海外での知名度もある 業種:寿司店/1店舗年商:約1億6,000万円EBITDA:約2,000万円予約困難店事例2◉ 食べログTOP5000、メディア掲載歴多数の 業種:ラーメン店/1店舗年商:約1億円特徴的なラーメン店スキーム:株式譲渡純資産:約3,000万円純資産:3000万円スキーム:事業譲渡EBITDA:約2,200万円EBITDA:2,200万円ティグレニュースこのお店はこれが有名、といった名物商品があるかどうか。何でも屋よりも専門店が強い。店内完結ではなく、EC販売や卸など、店外での売上が一定比率ある業態は強い。明確な課題を示せることは強いこと。買い手にとって伸びしろと判断できる。17スライド3価格に影響を及ぼす6要素スライド2EBITDA:2,000万円高額成約事例歴史評価組織商品販路店外売上課題伸びしろTIGRE NEWS

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