Plusone627
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築40年の建物をフルリノベーションして誕生した『THE CAMPUS』「THE CAMPUS SHOP」新製品を試すことができ、製品の魅力を通じて創造性を刺激する場にもなっている。「PARK」街に開かれたダイナミックな屋外空間。日替わりでキッチンカーの出店や様々なイベントが予定されている。「LIVE OFFICE」実際にコクヨ社員が働いているオフィスを見学することができる。(法人向け、要予約)ますが、売上のほとんどが国内市場に依存しています。少子化による人口減少やデジタル化・ペーパーレスの流れを受け、国内市場は明らかに飽和しており、オフィス需要も確実に縮小していく未来が予測されています。そこで、このような危機感を打開するために『3カ年計画』を立てました。ところが、世の中の大きな変化を捉えるには短すぎる期間でした。ペーパーレスと言われて久しいですが、キャンパスノートなどの売上は依然好調で、毎年1億冊販売しています。3年では目の前の事業改善に手一杯になってしまい、しかもそれで会社が維持できてしまう現状では、舵を別の方向へ大きく切ることは困難でした。 そこで策定したのが10年先を見据えた長期ビジョンです。ドラスティックに変化しているであろう10年後に向けて何をしていけば世の中の役に立つのか、自分たちが成長できるのかを考え、総合メーカーとして成長してきた「一本杉モデル」から、多様な事業の集合体として拡大していく「森林経営モデル」へシフトチェンジしました。さらに、長年培ってきた「顧客起点」、それによる「モノではなくコトを売る会社」というコクヨのDNAを新しい企業理念『be Unique. (ビー・ユニーク)』に込め、発表しました。橘 企業においては社員がいかに同じ方向に向かっていけるかが重要で、それなしにはどれだけ個々が頑張っても大きな力にはなり得ないですよね。黒田 そうですね。私は5代目社長として当然責任感や使命感を強く持っていますが、社員からすると私の発想がどこか他人事のような感覚になっていたことがよくありました。長期ビジョン策定にあたって、経営者である私がやりたいことを、いかに社員自らがやりたいことに置き換えられるかが重要だと気づくことができました。社内アンケートをとったところ、同じく長期ビジョンが必要だと思っていたという声が多く驚きました。コクヨは長い歴史の中で培われた事業を受け継いでいるためか、過去の成功事例を否定しにくい雰囲気がありました。一方で、コクヨのDNAである「顧客起点」に立ってみると、新しい方向へ舵を切る必要性を感じている社員が多かったのです。コクヨグループとしてどうしていきたいかが明確になったことがよかったです。社員自らが考え、挑戦できる環境を橘 新たな企業理念『be Unique.』への思いをお聞かせください。黒田 今は安く、速く、大量にモノを作ることができる時代です。一方で、モノ自体の価値が下がっているように感じます。10年後、20年後に、メーカーとして我々が提供できる価値を問われる中で出した結論は、「多様性に富んだ豊かな社会への貢献」でした。 今後は創造性を高め、自己実現・自己探求を重要視した学び方や、個々のアイディアを引き出して新たな価値を生み出す環境が求められるのではないかと考えています。世の中がユニークになっていくことへの貢献が、我々の存在意義だと考えました。多様なニーズに応えるための多品種少量生産をいかに実現するか、「あなたにとっての『be6

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