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「きれいごと言って、1億円の利益で、何回融資できますか、何回リスクが取れますか。やっぱり、適正な利益を上げないと、できないんです。」と、積極的にリスクを取って融資しながらも、不良債権比率を低く抑え、好業績を出し続けている広島市信用組合(シシンヨー)。前号に引き続き、山本明弘理事長が、地に足の着いた経営方針と、仕事への情熱を語る。不良債権が少ないのはなぜですか?  バルクセール(第三者への一括売却)を活用して、不良債権を徹底的に処理しているからです。 少し解説しましょう。以下はあくまで一例ですが、たとえば当組合に、A社に対する1億円の不良債権があったとします。 まずA社と交渉し、債権を売ることについて了承を得ます。そのうえで入札をおこない、一番高い値段をつけたサービサー(第三者)に対して、債権を売却します(ここでは仮に1千万円で売れたとします)。 以後サービサーがA社に返済を請求することになります。仮にA社が2千万円を返済し、残り8千万円は債権放棄してもらうことになったとすれば、A社には債権放棄してもらった分、8千万円の債務免除益があります。サービサーは1千万円で債権を購入し、2千万円を回収したのだから、1千万円の利益が出ます。 一方で当組合は1億円の債権を1千万円で売ったわけですから、9千万円の売却損になります。つまり、他で損失をカバーできるほどの利益が出ていなくては、この方法は使えないのです。大損のように思えるかもしれませんが、しかし、いつまでも不良債権を抱えていては、新しいリスクが取れません。新しいリスクが取れなければ、利益を出すことができなくなります。利益が出ていなければ、不良債権を処理できません。不良債権を処理できなければ、リスクが取れず⋮と悪循環にはまってしまいます。ですから不良債権を早めに処理することには大きな意味があります。 世間一般ではバルクセールは何か悪いことのように思われていますが、そんなことはありません。シシンヨーはこれまでに3千件強ものバルクセールをおこなってきましたが、まだ一件もトラブルは起きていません。秘訣は事前にお客さまと相談することです。「我々は債権譲渡をしようと思っています。譲渡先が反社会的勢力などとい現場を知れば未来が見える地域金融機関のぶれない経営術広島市信用組合 理事長山本 明弘 氏第2回32

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