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そんな折に、県内の食材の輸出振興に注力したいと考えていた徳島県から声がかかった。特産品であるユズやスダチを輸出する事業を支援する業務の委託を受け、欧米での見本市出展をサポートし、輸出を軌道に乗せた。日本の加工食品や生鮮青果物を輸入したいという求めに応じるうちに、都道府県ごとの食材をまとめて仕入れて輸出する商社機能も果たすようになっていったという。伝統的かつどこにもないものを世界に売る創業して6年が経過し、さまざまな日本の食材の輸出を経験する中で成功事例の共通点が見えてきた。代表的なのは小豆島に本社を置くヤマロク醤油の事例だ。手造りの大きな木桶で長い熟成期間をかけた醤油は、蔵の梁や土壁、土間に棲すみ着いた100種類もの酵母菌や乳酸菌によって生み出されている。「伝統的なものでかつ世界中のどこを探してもできない、そこにしか存在しないものは価値があります」。ヤマロク醤油は英国BBCやNETFLIX(ネットフリックス)が取り上げたことで海外の消費者の人気に火が付いたそうで「バイヤーから欲しいと言ってきたものに対しては値段も強気の設定でいい」とアドバイスする。一方で、自分の作った食材がおいしいものだからと言って売り込んでくる事例は多いが「日本で売っている何倍もの値段で現地では売らなければならないので、それがよそでも入手できるものであれば価値は感じてもらえません」と言う。今やユズやスダチでさえフランスやスペインで盛んに栽培されているとのことだ。また輸出を考える際に気を付けるべきことは、加工品であれば「FSSC 22000」をはじめとした食品安全マネジメントシステムに関する国際規格を、また食材に関しては「持続的な生産活動」を実践する優良企業に与えられる世界基準の農業認証である「グローバルGAP」を取得することが必須だという。「世界の潮流をふまえながら事業者を啓けいもう蒙し、輸出を支えていきたい」と話す。常に相手のメリットを考える業務を行う上で常に心がけてきたのは、ドイツ時代に教わった「相手のメリットを考えること」。メーカーへの輸出支援業務に関してはコンサルティング料をもらうやり方ではなく成功報酬型としている。また、他の輸出業者とも連携しながら空いているコンテナスペースを使わせてもらって無駄なく低コストで輸出することにも取り組んでいる。「バイヤーとのパイプをより太くし、輸出先も欧米だけでなくアジアにも目を向けていきたい」と日本産品の価値を世界に広げる活動にさらにまい進しようとしている。JETROが主催したイタリア・ミラノの商談会で。オフィスは極力シンプルにし無駄を省いている。ドイツでの商談。事業内容/輸出卸売業、海外営業・貿易業務代行〒770-0914 徳島市籠屋町1-25tel:088-676-2780https://www.mandj-llc.com/合同会社M&J  27

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