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健康相談室健康相談室ぜん息・アレルギー性鼻炎第5回原因の中心は、原因の中心は、生活環境に潜む“アレルゲン”生活環境に潜む“アレルゲン”気になる病気や健康について分かりやすく教えていただく「健康相談室」。第5回目は「ぜん息」と「アレルギー性鼻炎」。どちらも原因はさまざまな要因がからみあい、発症の予防が難しい病気です。放置すると日常生活に支障をきたすだけでなく、症状が悪化することで、ぜん息は入院に至ることがあり、鼻炎は中耳炎や副鼻腔炎などの病気を併発することも。正しい知識と早めの対応が重要です。増田 敬先生山王病院小児アレルギー外来(東京都港区)アレルギー発症のメカニズムは左の図の通りです。多くのアレルギーの病気はアレルギーの炎症が出来上がり、さらに何らかの物質に対する抗体ができるところから始まります。気管支ぜん息(以下 ぜん息)は、空気の通り道である気管支が狭くなることで呼吸が苦しくなる状態を繰り返す病気です。気管支に慢性的なアレルギーの炎症と抗体が存在するところに、さまざまな刺激が加わることで咳や呼吸困難を伴うゼーゼー、ヒューヒュー(喘ぜんめい鳴)などの症状が発作的に起こります。ぜん息の発症は環境が強く関係しており、喫煙者がいる家庭では子どもの罹患率が高くなる傾向がみられます。特に妊娠中に母親が喫煙すると、肺機能の発達に影響を及ぼす懸念があります。また、埃の中に含まれるダニが関係しているケースも多くありますが、人によって原因物質が異なります。こまめに掃除をすることで、身の回りのアレルゲン(アレルギーの原因)を減らすことが大切です。ぜん息は治療薬の開発や原因究明が進んだことで、通常の生活を送れる方が以前より増えています。治療方法としてはまず抗アレルギー薬や吸入ステロイド薬を使用することで、炎症を抑え発作を防ぎます。症状が悪化し明らかに呼吸不全の状態になると、血中の酸素飽和濃度が低下してしまうことがあります。そのような時には入院をして点滴や吸入による治療も行います。ぜん息は発症予防の有効な手立てが見つかっておらず、いかに悪化を防ぐかが重要です。どのような生活シーンで苦しくなるのか、メモをとるなどして書き記すのがおすすめです。ぜん息はアレルギーの病気ですが、気管支が過敏になるため、様々な刺激に反応します。自転車に乗った時や階段を駆け上がった時など、発作が起きやすくなるパターンを知ることでコントロールしやすくなるのです。冷気は強い刺激になるため、気温の変化が激しい季節の変わり目、特に春先や秋には注意が必要です。感染症(多くはウイルス性の風邪)は、発作のきっかけになりやすく、ダメ押し的に重くすることがあります。アレルギーが原因の呼吸器の病気としては、もう一つアレルギー性鼻炎があります。アレルゲンに対する免疫反応として、体を守ろうとすることで自分自身に不利益な物質を増やし、くしゃみや鼻水、鼻詰まりの症状が出ます。原因はダニ、犬や猫などの動物の毛、花粉など人によって異なります。花粉症は今や国民病と言っていいほど多くの方が発症しており、アレルゲンによって発症しています。鼻の粘膜の炎症がアレルゲンの侵入により増悪すると、むくみによって鼻腔が物理的に塞がれてしまいます。すると鼻の中に溜まった鼻水は粘ねんちゅう稠となって鼻詰まりを悪化させます。鼻の通り道が小さい子どもはより顕著に現れます。アレルギー性鼻炎は放置すると副鼻腔炎(蓄膿症)を併発する恐れがあります。鼻の周囲には副鼻腔という空洞が目の上、鼻の横、付け根、奥の4箇所にあります。鼻づまりが起きると鼻水が副鼻腔に炎症を起こします。黄色く、どろどろした鼻水は細菌と戦った白血球の残骸です。鼻の粘膜が傷んで細菌が侵入すると、抗菌薬が必要になってくることもあります。アレルギー症状を抑えるためには、アレルゲンに接触しないことが重要です。鼻や気管支の粘膜、皮膚の乾燥は防御の働きが低下し、アレルゲンが侵入しやすくなります。このため部屋の湿度を保つことは重要です。加湿器を使う他、洗濯物を部屋干しするのも有効です。加湿器は細菌やカビが繁殖しやすいため、まめに清掃をしてください。保湿剤で皮膚を日常的にケアすることも、アレルギーの増悪を抑えることに繋がります。20

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