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ティグレニュースTIGRE NEWS② いきなりの調査事前調査の次はいよいよ調査当日です。多くの場合、自宅と店舗の両方に開店前(主に朝一番)の時間にやってきます。ここで焦らずに次のように対処しましょう。・まず調査官を中に入れず、外で待機してもらいます(強制捜査でなければ無許可で中に入ってくることはありません)。・調査官の名前と部門を聞いてメモします。・なぜ事前の通知なしに調査を行うのか理由を聞いてメモします。・顧問税理士に連絡し、状況を伝え現場に来てもらいます。また、警察ではありませんので、くれぐれも逃げ出したりしないようお願いいたします。③ その場で現金等の確認税理士が到着しますと、いよいよ調査が始まります。皆さん、日頃の準備は大丈夫でしょうか?調査官は、まず売上の記録(レジのロールや売上伝票、領収書の控え)がどうなっているかを調査します。次に現金(レジ、小口現金、金庫など)の保管場所や日々の動かし方を確認し、その時点で残っている現金が通常の流れ通りの金額になっているかを調査します。売上の記録と現金の残高が一致していたら、いよいよ「売上の記録」が合っているかの確認です。調査官が事前調査をしに来た日の売上が正しく計上されているかを細かく調査します。ここまでをクリアすれば大きな山は越えたと判断して大丈夫です。もし開店時間が近づいていたら、朝からの緊張で疲れもあるかと思いますので、顧問税理士と相談して続きは別の日にお願いすることも可能です。在庫や商品の取り扱い税務署が突然やってきた!という最初の山を乗り越えた皆さんの次の山は在庫です。毎年の棚卸しや在庫の管理はしっかり行っていますか?ここでは調査の現場でよくある否認事例をいくつか紹介しておきます。① 在庫の管理がずさん在庫の管理をしておらず、毎年適当に計上していたところ、税務調査により否認を受けた事例。・税務署は平均的な利益率、売上高、仕入高からあるべき在庫を逆算して推計することがあります。これと申告金額に大きな差異がある場合、理由を説明する必要があります。② いつもと違う場所に置いた在庫期末にまとめて購入したが置場がなかったため別の場所に保管されており、お店の在庫として認識されていなかった事例。・特に自宅に保管している場合、私物との線引きが難しいため注意が必要です。③ 在庫廃棄処分不良在庫を処分した証拠がなく損失を否認された事例。・日常発生するものを超えた量の在庫処分をする際には、可能であれば処分証明書、ない場合は廃棄時の写真などの証拠を残しておきましょう。④ まかない・社員販売の未計上お店の商品・サービスを、経営者や従業員が無料で受け取っていた事例。・飲食店であれば、例えばまかない代を負担してもらう必要があります。・小売業の場合、仕入値以上かつ売値の70%以上で販売する必要があります。※得をしたと認定された金額は、受け取った各自が給与として課税されることになります。おわりにいかがでしょうか?現金商売の税務調査は「突然やってくる」ということを除けば基本的な内容が多く、事前に備えておけば対応できるものばかりです。ただ万が一「売上の未計上」が指摘された場合には「意図的な隠蔽」とみなされ、重加算税(35%)が課されるだけでなく青色申告が取り消しになってしまう可能性もあります。今のうちに顧問税理士と相談をして、足りない部分は対策を立てておきましょう。11

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