Plus One No.626
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   ■6橘 長部 橘 そこで、次のステップに進むための土台作りとして、1711年の創醸当時「大坂屋(おおざかや)」を屋号とし清酒醸造を始めた歴史をふまえ、昨年9月、「創家大坂屋」という新しいブランドを立ち上げ、第一弾として「創家大坂屋純米大吟醸酒720ml瓶詰」を発売しました。原料米には酒米の王様である山田錦を100%使い、造りにおいては手仕込みにこだわりました。近年は華やかな香りの酒が好まれる傾向にありますが、どんな食事も邪魔しない飲みやすいお酒に仕上げました。瓶もオリジナルでデザインし、「創家大坂屋」のロゴは私自身が思いを込めて揮■■毫しました。企画開発をしてくれた30代の担当者と商品づくりの過程で大関の歴史、想いについて話ができたことは大変意味深かったと感じています。術を活かし、お酒以外の商品を扱う新しいブランド「大関醸す(かもす)」を立ち上げ、第一弾として、発酵鍋の素「胡麻みそ坦々鍋」と「ぽかぽか生姜豆乳鍋」を発売しました。人は古来より微生物の働きを利用し、発酵食品や醸造の豊かな食文化を育んできました。当社は1980年に大関総合研究所をまた、昨年9月には酒造りの発酵技開設し、発酵食品が持つ健康・美容機能に着目した研究開発にも取り組んできました。その成果を活かし、今後も新たな商品を送り出していきたいと考えています。「醸す」という言葉には、お酒を醸すという意味はもちろんのこと、人との関係を醸すという意味もあり、奥深い大好きな言葉です。ティグレの創設者も常に時代の先端に立て、ということを言っていたことを思い出します。新たなチャレンジを続けていくためには人の成長が欠かせません。ティグレにおいても、人こそが財産との想いから人材教育に注力しています。教育面ではどのようなことに取り組んでおられますか。人づくりの大切さを感じてきたところです。新入社員研修の一環として始めたのが酒米の田植え、稲刈り体験です。お酒の原料である米作りは、米を育て、刈り取り、分配する、集団社会が形成されてきた原点であり、また日本の原風景でもあります。収穫の際には鎌を使って刈り取りをするのですが、農家さんの苦労を身をもって感じることができます。丹精込めた米作りからお酒のひとしずくができているのだということを肌で感じることで、開発にして社長に就任してから身に沁みても、販売にしても思い入れが変わってくるはずですし、周囲への感謝の気持ちも芽生えてきます。いずれにしても、現場を知ることは一番の教育の原点だと思っています。人のつながりを活かすという意味では、コミュニケーションとともにそれを支えるシステムが重要と考え、ティグレでは顧客管理システムを導入しています。接点のできたお客様とどのようなやり取りがあったかを書き込めば、その情報が部署内で共有されます。社員一人ひとりにパソコンとスマホを持たせることで、情報共有がさらに密になるように取り組んでいるところです。そ大阪府松原市出身、1979年に中企連(現ティグレ)松原事務所に入社後、業務部長や大阪の堺支店長を経て、2015年に取締役就任。2017年からティグレグループ代表として、ダイバーシティ経営を軸に、人材育成と人財活用の組織再編を行い、多様なキャリアプランの育成システムの整備で業績及び雇用を拡大。また、ICT推進による事業の効率化の達成ならびに生産性の向上に取り組む。橘 悦二 (たちばな えつじ)ティグレグループ代表

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