Plus One No.626
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広島市信用組合理事長山本明弘氏いるのは、フェイス・トゥ・フェイスの関係。コロナ禍でほとんどの金融機関が現場を訪問しなくなりましたが、おかげで当組合のビジネスチャンスが広がりました。シシンヨーでは感染対策を徹底したうえで、訪問活動を続けています。私はいつでもまんじゅうを持ってお客さまに会いに行きます。現場にこだわる理由は?現場に行かなければ何も始まりません。現場にはヒントがあふれています。本当に一瞬のヒントによって「ここは倒産するな」とか「粉飾決算しとるな」ということがわかります。たとえば、ある土建会社を訪ねた時のこと。「あれ?なんか今日の態度おかしいのう」と瞬時に思いました。応接室で話していても、何か心ここにあらずという感じで「どうもわしが来たことを嫌がっとるな」と。帰ろうとして玄関に行くと、送りだす態度が今までと違う。変に思って融資を止コロナ禍で貫く現場主義経営信用組合と銀行の違いは?大きな違いは二つあります。一つは銀行と違って非営利団体であること。もう一つは、業務範囲が地域住民や中小企業など、組合員に対する金融サービスに限定されていることです。地元の中小零細企業や個人事業主に必要な資金を融資し、地域を元気にする。それが我々の役割です。地域金融機関には地域金融機関の生きざまがあります。メガバンク・地方銀行のまねをして、パフォーマンスに走っているところもありますが、それで本当に地域の中小企業のためになっているか疑問です。いまや誰もがデジタル化を叫び、デジ      タル化することが何か生きがいのようになってしまっています。しかし、現場を歩けば、中小企業が何を望んでいるかがわかります。地域のおっちゃんおばちゃんがリモートワークを望んでいるでしょうか?「そんなことウチらいらん!」というのが本当です。むしろ必要とされて地域のために歩き続ける第1回32地方銀行から警戒されるほどの存在感を放つ信用組合が、広島にある。「シシンヨー」の愛称で知られる広島市信用組合は、コロナ禍をものともせず19年連続の増収を達成する見込みだ。2005年から理事長を務める山本明弘さんに、好業績の理由を聞いた。

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