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となる。作業精度も高く、ミリ単位の誤差での掘削も可能だ。また、掘削時に事前に目印をつけるための位置出し、丁張設置についてもアプリと連動した測量機械を活用することで、これまで2人必要だった作業が一人でできるようになった。また、現場の高所に現場全体を見渡せるカメラを設置し、工事の進捗状況や品質管理に役立てるクラウドカメラも多く活用されている。防犯、監視、安全点検にも使えるほか、日々の施工状況を短時間で振り返ることもできる。現場に職長や現場監督が足を運ばなくても遠隔での管理が可能になる。 ロボット化の進展も著しい。自動搬送システムもその一つ。電波で個体を識別するタグを資機材に取り付け、搬送先の情報をAGV(無人搬送車)に送信すると、資機材を自動搬送してくれる仕組みだ。周囲の空間形状を測定するセンサーなどで位置を推定し自律走行する。建築資機材の同一階での水平搬送に加え、エレベーターと連動した上下階の垂直搬送も自動化している。大手ゼネコンなど16社は2021年9月、建設ロボット・IoT(モノのインターネット)分野で「建設RXコンソーシアム」を設立。似たような研究開発を共同で行い無駄をなくすほか、ロボットの共通化により生産台数を増やすことで価格を下げ、普及しやすくなることを狙っている。施工管理のICT化については建設現場における施工管理業務をサポートするクラウドサービスの普及が進んでいる。施工管理の中核となる調整会議を電子化するシステムとして、元請けと職長がスマートフォンやタブレットを利用して毎日の作業日程を緊密に共有し、施工管理と安全管理につなげる。CCUSと連動させることで、出入りする技能労働者のスキルや入退所管理の効率化を図ることも可能だ。また、建設現場において設計図面通りに工事が進捗しているか確認できる検査システムも多く活用されている。例えば、コンクリート打設前の鉄筋配置を確認する配筋検査については、各種図面と現場の画像データを照合しながら工事が設計どおりに行われているかを確認したり、是正が必要な箇所を記録したりできる。発注者への報告書や専門業者に対する是正指示書を作成する機能なども備わっている。中小建設事業者の業務全般をサポートするシステム、アプリも普及が進んでいる。アプリを使って工程表や写真・図面資料などを共有することにより現場を見える化することで施工現場の業務改善を促す。また、工程管理、稼働管理、カレンダー、写真、資料、チャット、日報などの機能もあり、関係者全員で情報をリアルタイムで共有したり、工程表や図面もクラウド上で常に最新版に更新することでミスコミュニケーションを防ぎ、工期遅れの防止にも役立つ。建設業界におけるICTの取組みは日進月歩で、さまざまなメーカー、システム開発会社が新たな製品を開発している一方、元請けの大手ゼネコンだけでなく、協力会社も常に新たな製品、システムを積極的に取り入れながら、生産性、安全管理の向上に役立てている。とくに元請け会社は協力企業に対し、発注した工程を安全に納期内に進めるだけの労務の確保ができているかを最重視して発注の判断を行っている。ICT化への投資は決して手軽な投資ではないが、自社に取り入れやすいものを見極め、積極的に導入してくことが勝ち残りにつながるといっても過言ではない。施工管理におけるICT化業務全般のICT化自社に合ったものを積極的に導入するICT化によって建設業の働き方がより効率的になります!31

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