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子高齢化の進展による労働力不足は、日本の産業界全体が直面している喫緊の課題だ。なかでも建設業のそれは、労働環境の整備の遅れなどから他産業に比べて深刻で、業界一丸となって立ち向かっていく必要がある。そこで注目されているのが建築業のICT化だ。大手ゼネコンの担当者へのヒアリングに基づき、建設業界におけるICT化の取り組みの現状についてまとめた。少0 lIinformatii-cationConstruction」総務省の統計によると、建設業の就業者数は1997年の685万人をピークに減少傾向が続いており、2020年には492万人まで減っている。また、厚生労働省の「建設業における若年労働者確保の課題について」(2017年)によると、建設業従事者は2016年には約3分の1が55歳以上となっており、他産業と比べると高齢化が進行しているのが現状だ。労働環境の整備不足などにより、入職者が少なかったり入職しても定着しづらかったりしているのが原因の一つと考えられている。そこで人手に頼ることの多い現場作業や管理業務をICTの活用によって効率化する取り組みが加速している。ICTとは、「もコミュニケーション・情報共有の技術を中心に指す言葉だ。「ICT化」はそれらの技術を使用して業務の効率化を図ることを意味する。国土交通省は2016年、建築業の生産性向上を目的とした「と呼ばれる、新基準の導入を表明した。そのなかで重点施策として位置づけているのが「ICT技術の全面的な活用」だ。また、一人ひとりの技能者の能力を統一的に評価する仕組みとしてCCUS(建設キャリアアップシステム)を整備。個人のIDがonandCommunTechnoogy」の略称で、IT技術の中で付与されたICカードを活用し、いつ、どの現場に、どの職種で、どの立場(職長など)で働いたのか、日々の就業実績が電子的に記録・蓄積される。同時に、どのような資格を取得し、あるいは講習を受けたかといった技能、研鑽の記録も蓄積される。国交省ではその目的について「職人の適正な評価と給与の引上げと、職人を育てる企業が評価され、受注機会が確保される環境整備」を掲げており、2023年度から「あらゆる工事でCCUSの完全実施」を目指している。個々の建設事業者におけるICT化の取り組みは施工作業、施工管理、経営全般に分けられる。施工作業では、まず建設機械によるICT施工が挙げられる。ドローンやレーザースキャナにより測量データを3Dで生成し、施工時には3D設計データを建機に取り込むことで、作業を半自動化できる。工事完了後に再度3D測量データを作成、活用すると検査時の書類も不要ICT化による生産性向上で勝ち残るi-ConstructionとCCUS建設業界で、ICT化が注目されています人手不足を克服するために施工作業におけるICT化全産業保険業金融業情報通信業製造業小売業卸売業宿泊業飲食サービス業国土交通省i-Constructionによる建設現場の生産性向上より出典(2020年5月)P30 「建設業全体の生産性の計測手法について(試算)」労働生産性の比較(2018年)10,0008,0006,0004,0002,0004,2602,6012,844建設業9,4386,7365,4024,68430ICT

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