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気になる病気や健康について分かりやすく教えていただく「健康相談室」。第3回目は気づかないうちに進行してしまう病気の一つであるじん肺。炭鉱やアスベストのイメージからじん肺は過去の病気と思われがちですが、粉じん作業に携わる人だけでなく、粉じんが出る環境にいる人なら誰にでも発症するリスクがあり、知識を持っていることで身を守ることもできます。じん肺とは、長期間吸引した粉じんや微粒子が、肺の細胞に蓄積することによって起きる肺疾患の総称です。症状としては咳、痰、息切れ、呼吸困難、動■■■悸など呼吸器系に現れ、進行すると胸膜炎や結核、肺がんなど、命に関わる病気へ繋がる恐れもあります。「じん肺はすぐに症状が出ないために、気付きにくいところが怖い病気です。日焼けをすれば肌がヒリヒリするためすぐに対策を講じることができますが、じん肺の場合は病気の進行に気づきにくいため、数年、十数年以上と長期間にわたる粉じん曝露によって、継続的に少しずつ肺機能が悪化していきます」。じん肺は、コップの水が溢れるように突然重い症状が現れるといいます。「初期症状は軽い息切れ程度なので、『病院に行くほどではない』と自己判断で放置してしまう方が多くいます。体が排出できない細かな粉じんが肺に蓄積すると、やがて肺組織が線維化して硬くなります。そうすると肺の膨張・収縮機能が低下し、酸素を取り込みにくくなるため、慢性的に呼吸が苦しくなってしまうのです。じん肺には根本的な治療法がなく、症状に合わせた対症療法をすることしかできません。例えば、痰が多い時には去痰剤、咳が多い時には鎮静剤、呼吸が苦しい時には酸素吸入などです。現状では改善方法がないため、重い症状が出る前に予防をすることが非常に重要です」。じん肺予防には、危険が身近にあることを自覚することも大切です。「じん肺は過去の病気と思われがちですが、年間のじん肺新規患者は500〜700人おり、1日1〜2人が罹患している計算になります。また粉じん曝露環境での作業者は約原因物質としては"アスベスト(石綿)"が有名ですが、酸化鉄やアルミニウム、炭素など現場作業者の身近に存在する物質もじん肺の原因となります」。じん肺から身を守るために、基本の予防策は3つあります。『粉じん曝露量を減らすこと』『吸引する粉じん量を減らすこと』『じん肺を早期発見して対策すること』「予防策を徹底するためには、粉じん作業者自身がじん肺に関する知識を持っていることも重要になります。会社は管理体制について教育の機会を提供し、管理者や作業者はその意味を理解して行動を徹底すること。防じんマスク一つにしても、作業者自身が意識して着用を徹底しなければ、支給する意義がなくなってしまいます」。いくらじん肺予防をしていても、生活習慣が乱れていたり、喫煙習慣があったりしては肺機能を維持することが難しくなってしまいます。肺を含む組織の新陳代謝を高めるために、生活習慣を整え健康な身体づくりを目指しましょう。第3回じん肺医師・産業医40万人いると言われています。(株)メディカルアンドナレッジカンパニー代表18健健康康相相談談室室佐野正行先生粉じんから身を守るために粉じんから身を守るために病気の身近さと予防の大切さを病気の身近さと予防の大切さを知りましょう。知りましょう。

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