Plusone No.624
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渡辺渡辺   橘 橘  橘 6渡辺人が集まる会社こそが発展する地元の若い人材の雇用の受け皿も2020年9月、東京本社で働く約1800人の事務職のうち約1200人の業務を2024年までに段階的に淡路島へ移動させると発表されました。そもそも淡路島とかかわることになったきっかけを教えてください。弊社代表の南部靖之が兵庫県出身ということもあり、1995年に阪神・淡路大震災で被災した淡路島でより過疎化が進みつつあった状況を憂い、活性化に貢献したいという思いを持っていました。2008年に農業分野における人材育成・独立就農を支援する「パソナチャレンジファーム」からスタート。廃校の小学校を活用した観光複合施設を皮切りに、西海岸でハロ―キティのレストランなどの飲食店を次々にオープンしました。バレエや落語、ミュージカルなどを上演できる「波乗亭」という劇場、また県立淡路島公園の一角に設けたテーマパーク「ニジゲンノモリ」では、クレヨンしんちゃん、NARUTO、ドラゴンクエストのテーマパークや、ゴジラのアトラクション、グランピングができる宿泊施設も開設しました。昨年は、コロナ禍で困っているシェフを集め、コンテナ屋台で料理を出す「淡路シェフガーデン」も設けました。コロナが収束すれば、インバウンドに来てもらい、活性化につなげられると考えています。私が住んでいる大阪府堺市からも阪神高速湾岸線を利用すれば淡路島まで1時間ほどで行くことができるので、ぜひ訪ねてみます。2020年9月には、淡路島に本社機能を一部移転させると発表されました。淡路島にもたらす経済効果についてはどのように考えておられますか。によりリモートワークを取り入れた結果、そのような働き方ができるのであれば東京と淡路島で分散して働くことも可能だと考えたことも移転を決断する後押しになりました。島内への経済効果を考え、施設の建設では地元の建新型コロナウイルスの感染拡大設業者に発注し、飲食、宿泊施設では地域の食材を仕入れています。今後は、コールセンターをはじめ業務の受託を行うBPOセンターを増やし、淡路島に住む若い人の採用を進めていこうと考えています。地方の企業にとっては人材不足が今大きな課題となってのしかかっています。地方の企業が人を確保するためには何が必要でしょうか。逆説的になってしまいますが、さまざまな会社を見ていて感じることは、人が集まる会社こそが発展しているということです。そのためにはどのような事業を行い、どのようにブランディングすれば若い人材に興味を持ってもらえるかにフォーカスを当てて考えることが重要です。若い人が見向きもしないような事業のやり方を続けていては衰退するだけです。例えば、東京の原田左官工業所では、若い左官を社員として雇用しているほか、女性の職人社員も多数おられ、人材育成に注力することで、左官のな大阪府松原市出身、1979年に中企連(現ティグレ)松原事務所に入社後、業務部長や大阪の堺支店長を経て、2015年に取締役就任。2017年からティグレグループ代表として、ダイバーシティ経営を軸に、人材育成と人財活用の組織再編を行い、多様なキャリアプランの育成システムの整備で業績及び雇用を拡大。また、ICT推進による事業の効率化の達成ならびに生産性の向上に取り組む。橘 悦二 (たちばな えつじ)ティグレグループ代表

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